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カブトムシの蛹は天敵モグラの振動を模倣して身を守っていた

2012年7月4日掲載

論文名(1) Deceptive vibratory communication: pupae of a beetle exploit the freeze response of larvae to protect themselves(振動による騙しのコミュニケーション:カブトムシの蛹は身を守るために幼虫の動きを止める)
著者(所属)

小島 渉(東京大学・森林総研研修生)、石川 幸男(東京大学)、高梨 琢磨(森林総研 森林昆虫研究領域)

掲載誌

Biology Letters(イギリス王立協会バイオロジー・レターズ)、2012年6月6日オンライン公表  DOI: 10.1098/rsbl.2012.0386(外部サイトへリンク)

論文名(2)

Pupal vibratory signals of a group-living beetle that deter larvae: are they mimics of predator cues? (集団生活性甲虫の蛹の振動は幼虫を近づけない:振動は天敵の模倣信号か?)

著者(所属) 小島 渉(東京大学・森林総研研修生)、石川 幸男(東京大学)、高梨 琢磨(森林総研 森林昆虫研究領域)
掲載誌

Communicative & Integrative Biology(交信・統合生物学)、2012年5月オンライン公表 http://www.landesbioscience.com/journals/cib/2011CIB0226RF.pdf(外部サイトへリンク)

内容紹介

土の中にいるカブトムシの蛹は身を守るために規則的な振動を発して、まわりの幼虫を近づけないようにしていることを私たちは既に明らかにしました(http://www.ffpri.affrc.go.jp/research/saizensen/2011/20111011-01.html)。しかし、そもそも幼虫はなぜ振動を避けるのでしょうか? カブトムシの幼虫の動きを細かく調べたところ、蛹の振動を感じると数分間にわたり動きが完全に止まりました。また、蛹が振動を発しない他のコガネムシ類の幼虫も、カブトムシの蛹の振動によって動かなくなりました。さらに調べると、この振動はコガネムシ類の幼虫の有力な天敵であるモグラが発する振動によく似ているのです。したがって振動を感じて動きを止めるのは、天敵のモグラなどを避けるうえで有利になるという理由から、コガネムシ類の幼虫にもともと備わっていた習性といえます。カブトムシの蛹はこの性質を逆手にとって、モグラなどを模倣した振動で他の幼虫を欺き近づかないようにしているのだと考えられます。天敵が発する信号を利用した害虫防除は他でも試みられており、今回の結果も、振動を用いた害虫の忌避や探知などの技術への応用を検討して行きます。

  

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