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カンボジア熱帯林の「赤い土」はいかにして炭素を貯めこむか?

2012年10月25日掲載

論文名 Physicochemical properties and carbon storage of forest soils on Cambodian basalt: A preliminary study with density fractionation approach.(カンボジア玄武岩地域の森林土壌の理化学特性と炭素蓄積 —比重分画法を用いた予備的研究—)
著者(所属)

鳥山淳平(温暖化対応推進拠点)・太田誠一(京都大学)・大貫靖浩・今矢明宏(立地環境研究領域)・伊藤江利子(北海道支所)・神崎護(京都大学)・平井敬三(立地環境研究領域)・荒木誠(温暖化対応推進拠点)・清野嘉之(研究コーディネータ)・チャンソファル(カンボジア森林局)

掲載誌

Japan Agricultural Research Quarterly、Vol.47(2):217-226、JIRCAS、(平成25年4月1日発行)

内容紹介

現在、経済発展の著しい熱帯諸国では森林の減少、劣化が急速に進んでいます。森林を伐採し新鮮な有機物(落葉、落枝、枯死根)の供給がストップすると、土壌中の有機物の分解速度が蓄積速度を上回り、土壌が、温室効果ガスである二酸化炭素の放出源となります。熱帯林の伐採に伴う将来的な二酸化炭素の放出量の推定は急務となっており、そのためには熱帯林域における主要な土壌タイプの分布と、現時点における土壌炭素の蓄積量に関する知見が不可欠です。

カンボジアでは、「赤い土」として地域住民にも知られる玄武岩から生成される土壌(玄武岩土壌)が主要な土壌タイプの1つとして挙げられます。しかし、この土壌の分布する土地は古くから農耕地として利用されることが多く、森林における玄武岩土壌についての詳しい調査、研究は行われていない状況でした。そこで私たちは、カンボジアの森林6地点の玄武岩土壌の理化学特性と炭素蓄積に関する調査を行いました。

その結果、玄武岩土壌が堆積岩由来の土壌に比べ、深さ30cmで1.8~2.4倍程度高い炭素蓄積量を示すことを明らかにしました。これは、玄武岩土壌により多く含まれるアルミニウムが炭素吸着の安定化に貢献しているためです。また、表層土壌の炭素のおよそ9割が鉱物粒子の表面に吸着していること、同じ玄武岩土壌でも玄武岩の風化程度によって赤みの度合いや性質が異なることも明らかにしました。今回の報告は、カンボジアをはじめ東南アジアの熱帯林における今後の温室効果ガスの放出量の推定や、熱帯林の保全、適切な管理技術の確立に活用されます。

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