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2013年3月29日掲載
論文名 | Year-to-year differences in sap flow and crown-level stomatal conductance of two species in a lowland evergreen forest, central Cambodia (カンボジア国中央部の低地常緑林における2樹種の樹液流量と樹冠レベル気孔コンダクタンスの年々差) |
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著者(所属) |
飯田 真一(水土保全研究領域), 伊藤 江利子(北海道支所),清水 晃(九州支所), 延廣 竜彦(水土保全研究領域), 清水 貴範(水土保全研究領域), 壁谷 直記(九州支所), 玉井 幸治(水土保全研究領域), 荒木 誠(温暖化対応推進拠点), Sophal Chann(カンボジア国野生生物研究所), Nang Keth(カンボジア国野生生物研究所) |
掲載誌 | Japan Agricultural Research Quarterly (JARQ)、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)、47巻3号、2013年7月1日DOI:10.6090/jarq.47.319(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
森林の水循環を解明するためには、樹木の水消費を明らかにする必要があり、葉からの蒸散量やその季節変化の把握が重要です。雨季と乾季のあるカンボジア国では通常乾期に落葉し蒸散量は小さくなりますが、カンボジア中央部には落葉しないユニークな常緑林が存在します。常緑林を構成する樹木はどのように水を消費しているのでしょう。 常緑林といっても毎年古い葉が落葉し、新しい葉が展開します。その落葉の仕方は大きく2つに分けられ、ハツバキ属のDrypetes sp.のようにある時期に一斉に落葉し、すぐに新しい葉を展開して葉を入れ替える種と、テリハボク属のCalophyllum inophyllumのように一年中徐々に葉を入れ替える種があります。この特徴的な2樹種の水消費量を比較するため、44ヵ月間にわたって木の幹を流れる水量(樹液流量)を測定しました。徐々に葉を入れ替えるCalophyllum inophyllumの水消費量は測定期間中あまり変化しませんでした。一方、Drypetes sp.の水消費量は大きいときと小さいときで1.9倍もの差があることが明らかとなりました。徐々に葉を入れ替えるCalophyllum inophyllumは、若い葉と成熟した葉の割合が変化しないため、水消費量の季節変化が乏しく、一方、葉を一斉に入れ替えるDrypetes sp.は活性の高い若い葉が多い時期に水消費量が大きくなったと考えられます。 このように、常緑林には水消費が年中あまり変化しない樹種と、特定の時期に水消費が増加する樹種があります。カンボジアの経済発展により、特に常緑林の開発が進んでいます。森林伐採によって特定の樹種が減って構成樹種に偏りが生じると、水消費量の季節変化が変化し、ひいては常緑林の水循環にも影響する可能性があります。常緑林の樹種の多様性を保全することは水の循環においても重要です。 |
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