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高解像度衛星によるマングローブ林バイオマスの広域推定手法

2013年4月26日掲載

論文名  Estimation of aboveground biomass in mangrove forests using high-resolution satellite data (高分解能衛星データを用いたマングローブ林における地上部バイオマスの推定)
著者(所属)

平田 泰雅(温暖化対応推進拠点)、田淵 隆一(企画部)、Pipat Patanaponpaiboon(チュラロンコン大)、Sasitorn Poungparn(チュラロンコン大)、米田 令二(国際農研)、藤岡 義三(養殖研)

掲載誌   Journal of Forest Research、Springer、電子版:2013年4月、DOI: 10.1007/s10310-013-0402-5(外部サイトへリンク)
内容紹介

熱帯から亜熱帯の沿岸域に分布するマングローブ林は、成長が旺盛なこともあって炭素蓄積機能が高いことが知られています。しかしながら、近年、エビ養殖場への転換や過度の木材・製炭用材生産のため減少や劣化が多く見られるようになってきました。森林の炭素蓄積量はバイオマス量を知ることにより算出することができます。そこで従来の地上調査より簡便に広域でマングローブ林のバイオマス量を推定する手法を開発しました。

高分解能衛星は地上を詳細に観測する能力が高く、樹木の一本一本まで観測することが可能です。この観測能力を利用して、マングローブ林における樹冠の情報から地上部バイオマスを算出する手法を開発しました。具体的には、高分解能衛星で判別された樹冠の太陽光の反射パターンから樹種を分類し、それぞれの樹種ごとに樹冠サイズから幹の直径を推定するものです。この手法で推定された幹の直径からバイオマス量を推定した結果、地上調査で得られたバイオマス量と高い相関が見られました。

地上調査には多くの労力を要しますが、この手法を用いることでこれまで困難であった広域のマングローブ林の炭素蓄積分布の把握が可能になります。さらに、この高分解能衛星データを用いて広域での成育状況を把握することが可能となり、マングローブ林の持続的な管理に役立つことが期待されます。

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