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熱帯二次林樹木の萌芽再生能力は成長にともない低減する

2013年4月26日掲載

論文名  Ontogenetic Changes in Carbohydrate Storage and Sprouting Ability in Pioneer Tree Species in Peninsular Malaysia (半島マレーシアにおける生育段階に伴う二次林樹木の萌芽能力と貯蔵資源の変化)
著者(所属)

田中 憲蔵(国際連携推進拠点)、市栄 智明(高知大学農学部)、米田 令仁(国際農林水産業研究センター)、田中(小田) あゆみ(東京大学大学院新領域)、アザニ・アリアス、ニック・マジッド(マレーシアプトラ大学林学部)

掲載誌  Biotropica誌、電子版掲載:Wiley-Blackwell社、2013年3月、DOI: 10.1111/btp.12036(外部サイトへリンク)
内容紹介

東南アジアでは人間活動により広大な熱帯林が劣化し、成長の早い先駆樹種から構成される二次林に姿を変えています。二次林樹木の萌芽再生能力の把握は、火災などかく乱後の二次林の再生過程の解明や炭素蓄積変化の把握に不可欠です。

この研究では代表的な2種のオオバギ属(Macaranga)の二次林樹木の萌芽能力と根の貯蔵資源(主にデンプン)が、稚樹から成木まで生育段階でどのように変化するのか調べました。その結果、稚樹や直径20cm以下の個体では萌芽能力が高く、成木になるとその能力は失われることが分かりました。この萌芽能力の変化は根のデンプンなど貯蔵資源の濃度変化と強い関係があり、濃度の高い稚樹で萌芽能力が高くなることが分かりました。また、暗い環境に生育する種の方が萌芽能力も貯蔵資源濃度も高いことが分かりました。しかし、根に貯蔵しているデンプンの総量は、成木の方が多く、稚樹の数百~千倍も貯蔵していました。しかし、これらの貯蔵資源は、伐採後はほとんどが根の呼吸などに消費され、伐採後の萌芽再生には貢献していないと考えられました。今回調べた代表的な二次林樹木の萌芽再生能力は、施業管理面だけでなく、かく乱後の炭素蓄積過程の解明などにも幅広く貢献できると期待されます。

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