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土壌のイオウ量は火山灰の分布が決める

2013年4月26日掲載

論文名  Soil sulfur content and its spatial distribution in a small catchment covered by volcanic soil in the montane zone of central Japan (中日本の火山灰の混入した森林小流域土壌におけるイオウ化合物の空間分布)
著者(所属)

谷川 東子(関西支所)、山下 尚之(アジア大気汚染センター)、相澤 州平(北海道支所)、 大貫 靖裕(立地環境研究領域)、 吉永 秀一郎(九州支所)、高橋 正通(研究コーディネータ)

掲載誌  Geoderma 197–198 (2013) 1–8、DOI: 10.1016/j.geoderma.2012.12.017(外部サイトへリンク)
内容紹介

イオウは生物の必須元素であり、森林の中を循環しています。一方、大気汚染や火山活動によるイオウ酸化物は森林に被害を及ぼすこともあります。森林に入ったイオウは土壌に蓄積したり、流れされたりして、土壌の酸性化などの性質に影響を与えるので、土壌中のイオウの分布を調べることが重要です。そこで、私たちは火山灰とイオウ成分との親和性に着目し、森林流域における土壌中のイオウ分布を推定しました。

茨城県中央部の城里町のスギや広葉樹を交えた森林で、流域の土壌にたまっているイオウ蓄積量の分布を明らかにしました。イオウの分布は斜面の形状によって異なり、傾斜の緩やかな斜面上部や平らな尾根に多く、斜面下部や谷筋には少ない分布パターンがえられました。このパターンは火山灰土壌のもつ性質の分布と似ていたので、地理統計学という手法により比較したところ、火山灰土壌に多く含まれる化学成分とイオウの分布がよく一致していることを確認しました。この地域では、緩やかな山地斜面の上部には長期間にわたり堆積した火山灰土壌が厚く残っている一方、急な斜面では雨などで流されたためほとんど火山灰は残っておらず、この違いがイオウ蓄積量の分布パターンを決めていると考えられました。

山地の土壌は地形によって複雑に変化しますが、火山灰の分布から土壌中のイオウ蓄積量が推定できました。この研究は、樹木の生長予測や土壌の酸性になりやすさの診断に役立ちます。

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