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森林・林業教育の変遷

2013年6月5日掲載

論文名 戦後の専門高校における森林・林業教育の変遷と今後の課題 ―学習指導要領をもとにした分析―
著者(所属)

井上 真理子・大石 康彦(多摩森林科学園)

掲載誌 日本森林学会誌、95巻2号、117-125、2013年4月 DOI:10.4005/jjfs.95.117(外部サイトへリンク)
内容紹介

森林・林業の再生に向けて、その担い手としての人材の重要性がうたわれ、森林管理を担うフォレスターなど専門性を持った人材育成が求められています。森林・林業分野の専門教育の一端を担ってきた農林専門高校は、人材育成の上で、これまでどんな役割を果たし、また今後どのような貢献が期待されるのでしょうか。戦後から現在に至る専門高校での森林・林業教育の変遷について分析しました。

林業科など森林・林業関連の学科を持つ専門高校は、1951年には全国で100校以上ありましたが、1989年には、森林・林業関連の学科を持つ専門高校は77校(うち林業科を持つ学校は57校)に減少し、現在(2012年)では、林業科を持つ学校はわずか3校、林業科以外の森林・林業関連学科を持つ学校を加えても36校に過ぎません。

専門教育の目標も、1970年代までは林業技術者の養成という視点が強調されていましたが、その後徐々に変化し、2000年以降は、明確に進学を視野に入れた将来の職業人の育成に変わりました。森林・林業関連科目の内容としては、森林・林業に関する基礎的な10項目(育林、森林利用や木材の生産、山地の保全、森林の機能、測樹、流通、林政、木材の性質と用途、木材加工、林産製造や特用林産)については一貫して教えられてきましたが、砂防、土木など林業の専門技術的な内容が減り、森林の生態や環境保全が加わりました。1950年には、林業関連分野への就職も卒業生のほぼ半数を占めていましたが、近年では、森林・林業関連分野への就職・進学全体で、森林・林業関連学科卒業生約1,000人のうち約2割程度に減少したと考えられます。

このような専門高校の役割の変化から、今後は、教養教育と職業教育の2つの役割を持つことが期待されていると考えられます。長期的な視点が必要な森林・林業分野では、社会情勢の変化を考慮し、これからの人材に期待される技術や教育内容を整理した上で、専門高校や大学など教育機関と行政や産業分野とが連携を図りながら、効果的に専門教育を行うことが必要でしょう。

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