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2013年9月6日掲載
論文名 | The importance of wild plant species as potential inoculum reservoirs of white root rot disease (白紋羽病の感染源としての野生植物の重要性) |
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著者(所属) |
竹本 周平(森林微生物研究領域)、中村 仁(果樹研究所)、田端 雅進(森林微生物研究領域) |
掲載誌 | Forest Pathology, 43, Wiley-Blackwell, 2013, DOI: 10.1111/efp.12069(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
岩手県二戸市はわが国における国産漆の約8割を生産する地域です。しかし、近年、白紋羽病菌によるウルシの枯死被害が発生し、問題となっています。本菌は、これまでの果樹園での研究で、罹病した果樹の根を伝って隣の木に感染を拡げることが知られています。ウルシ林は果樹園と異なり、多種多様な雑草木がウルシの木の間に混在していて、それらも感染ルートになっている可能性があります。 そこで、コナラ、クリ、ホオノキ、コウゾ、ガクアジサイ、マタタビ、チャ、ノイバラ、フキやワラビに対する白紋羽病菌の病原性、それらの根系における病原菌の挙動を調べました。供試植物のうち、クリやマタタビなどは枯死しましたが、チャやフキなどは枯死しませんでした。しかし、枯れなかった種類も含め、全ての植物の根系に腐敗した壊死が見られ、根系上に白紋羽病菌の菌糸束が広がっていました。つまり、ウルシ林の雑草木が白紋羽病菌の潜在的な感染ルートになり、本病の蔓延を助長していることを示します。したがって、白紋羽病を防ぐためには、林内の雑草木の除去が必要です。 |
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