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伐採地に散布される種子は年とともに多様になる

2013年11月21日掲載

論文名

照葉樹二次林に隣接する伐採地における6年間の種子散布

著者(所属)

山川 博美(九州支所)、伊藤 哲・中尾 登志雄(宮崎大学)

掲載誌

日本生態学会誌、63巻2号、219-228、2013年7月

内容紹介

日本の人工林の多くはスギやヒノキの単純一斉林であり、広葉樹の天然林に比べて生物多様性の低さが指摘されています。一方、林業生産の観点から見て、採算性の悪い立地の人工林については、今後天然林へ戻していくことが望ましい場所もあります。一般に、伐採後の人工林の天然林への移行は、前生樹注1)の萌芽や埋土種子注2)の発芽、そして伐採後に新しく散布される種子によって始まります。これまでに、森林の再生に対する前生樹の重要性は分かっていましたが、伐採後に散布される種子の果たす役割はよく分かっていませんでした。

本研究では、照葉樹林に隣接するスギ人工林の伐採地で伐採直後から6年間の広葉樹種子の散布量を調べました。伐採地に散布される種子数は、隣接する照葉樹林やスギ人工林の中と比較して明らかに少ないものでした。しかし、伐採地に散布される種子は、伐採からの年数が経つにつれて、散布される範囲、種子数、種数ともに増えることが確認できました。この変化の理由は、種子散布する鳥が伐採地を利用する頻度が増えているためと考えられました。伐採後の森林再生に対する散布種子の役割は、短期間では大きく期待できませんが、長期的には森林の多様性を高める材料として重要であると考えられました。

この結果は、針葉樹人工林を自然林へ戻す際に有効に活用できると期待されます。

注1) 伐採前から森林に生育している樹木

注2) 土の中で長い間埋もれている種子

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