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天然林と人工林の境界では生物の多様な作用が働いている

2013年11月21日掲載

論文名

森林景観において境界効果はどこまで及んでいるのか?

著者(所属)

酒井 敦(四国支所)、山川 博美(九州支所)、清和 研二(東北大学)

掲載誌

日本生態学会誌、63巻2号、日本生態学会、2013年7月

内容紹介

わが国では森林面積の4割を針葉樹の人工林が占めています。天然林と人工林では構成種や構造が大きく異なるため、境界を介してお互いに様々な影響を与えていると考えられます。しかし、両者の境界域でどのようなことが進行しているのか体系的に理解されていませんでした。そこで、天然林から人工林への生態的な作用(例えば種子散布)を中心にこれまでの研究成果をとりまとめ、人工林生態系の特徴を明らかにしました。

天然林から人工林への最大の種子散布距離は、ネズミによる貯食散布注1)で30m以内、風散布や鳥による被食散布で100m以上、カケスによる貯食散布で250m以上でした。菌根菌注2)は天然林と人工林では組成が異なり、広葉樹林に多い菌根菌は境界から人工林側に10m程度までしか分布せず、人工林での広葉樹の定着に影響を与えている可能性があることがわかりました。

境界の影響は境界から離れるほど小さくなるため、人工林の面積が大きいと内部まで天然林の作用が及ばず、生態系がより単純になる恐れがあります。天然木の侵入を促し、人工林の公益的機能を高めるには、保残帯を設けて人工林を細分化するなどの処方が必要と考えられます。

注1) 貯食散布:ネズミやカケスが貯食のためドングリなどを運び、地中に埋める行動によって種子が散布される様式

注2) 菌根菌:植物の根に入り込み、植物にミネラルを供給するかわりに糖類をもらい、共生関係をつくる菌類

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