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強酸性土壌で植物栽培が可能になる ―ユーカリから土壌中のアルミニウムを無毒化する物質を発見―

2014年2月21日掲載

論文名

Identification of a hydrolyzable tannin, oenothein B, as an aluminum-detoxifying ligand in a highly aluminum-resistant tree, Eucalyptus camaldulensis(アルミニウム耐性樹木 Eucalyptus camaldulensisからアルミニウム無毒化物質として加水分解性タンニン・エノテインBを同定)

著者(所属)

田原 恒(生物工学研究領域)、橋田 光・大塚 祐一郎(バイオマス化学研究領域)、大原 誠資(元研究コーディネータ)、小島 克己(東京大学)、篠原 健司(研究コーディネータ)

掲載誌

Plant Physiology, 164 (2), American Society of Plant Biologists, February 2014, DOI: 10.1104/pp.113.222885(外部サイトへリンク)

内容紹介

世界の陸地の約3割は、強酸性の土壌で覆われています。強酸性土壌では、土壌粒子から有毒なアルミニウムが溶け出してくるため、植物の枯死や成長不良が起こります。強酸性の荒廃地で効率的に植林や耕作ができれば、地球温暖化の原因である二酸化炭素の森林への固定や、食糧不足の緩和に貢献できます。オーストラリア産樹木のユーカリは、強酸性土壌でも育つことができ、高濃度のアルミニウムにも耐えられます。その仕組みを解明し、活用すれば、強酸性土壌でも植物栽培が可能になると考えました。

ユーカリは、アルミニウムを無毒化する物質を作っているのではないかと考え、ユーカリの成分を分析しました。その結果、ユーカリの根からアルミニウムを無毒化する新しい物質を発見しました。この物質は、加水分解性タンニンと呼ばれるポリフェノールの一種で、1分子でアルミニウムイオンを4個以上捕捉することができます。また、捕捉されたアルミニウムは植物にとって無毒になります。このアルミニウム無毒化物質は、ユーカリの根に約1%(乾燥重量あたり)と高濃度に含まれています。ユーカリは、根でこの物質にアルミニウムを捕捉させ無毒化できるので、高濃度のアルミニウムに耐えられると考えています。

今後、ユーカリ樹体内で、どのようにアルミニウム無毒化物質が合成されているか調べる予定です。その仕組みを応用すれば、アルミニウムに耐えられ、強酸性土壌でも生育できる樹木や作物の開発につながります。また、土壌改良剤の開発への応用も考えられます。

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