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なだれの速度は秒速30m以上と推定

2014年8月7日掲載

論文名

岩手山で2010-11年冬期に発生した大規模雪崩による亜高山帯林の倒壊状況と雪崩速度の推定

著者(所属)

竹内 由香里(気象環境研究領域)、鳥田 宏行(北海道立総合研究機構)、野口 正二(水土保全研究領域)、伊豫部 勉(新潟大学)、平島 寛行・小杉 健二・根本 征樹・佐藤 研吾(防災科学技術研究所)、平山 順子(北東北エリア雪崩事故防止研究会)、阿部 修(防災科学技術研究所)

掲載誌

雪氷、76巻3号、日本雪氷学会、2014年5月

内容紹介

森林には、流下するなだれ(雪崩)の進行を妨げ、速度を落として破壊力を弱める機能があることが経験的に知られています。しかし、その効果は雪崩の種類や規模、森林の面積や林相、地形などの条件によって変わります。そのため様々な雪崩の事例を調査し、雪崩の規模に対する森林の効果を明らかにする必要があります。

2010-11年冬期に岩手山の西斜面で大規模な雪崩が発生し、広範囲(7ha)の亜高山帯林が倒壊しました。雪崩は標高約1730mの森林限界より高所で発生し、高速で森林に流入した乾雪表層雪崩と考えられます。雪崩が発生した日は岩手県で記録的な大雪となった12月31日以降1月6日までの間と推定されました。雪崩が林内を流下した状況を明らかにするため、樹木の倒壊状況を調査しました。倒壊した樹木の9割はアオモリトドマツ、1割がダケカンバでした。アオモリトドマツは上流部ほど幹が折れて切断されたものが多く見られましたが、ダケカンバの多くは幹が折れずに根こそぎ倒れていて、樹種により、また同じ樹種でも上流部と下流部で倒壊形態に違いが見られました。アオモリトドマツの幹が折れるのに必要な力をもとに雪崩の速度を計算すると、最大で秒速33~53m以上であったと推定されました。

標高の高い亜高山帯林の雪崩による倒壊状況を詳細に調査した例はなく、本研究の成果は、森林が雪崩災害を軽減する効果を研究する上で有効に活用されると期待されます。

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