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市民参加の鳥類観察記録から広域分布を読み解くことに成功

2014年12月4日掲載

論文名

Mapping large-scale bird distributions using occupancy models and citizen data with spatially biased sampling effort(占有モデルと空間的に調査努力量が偏った市民データを用いた広域鳥類分布のマッピング)

著者(所属)

比嘉 基紀(高知大学)・山浦 悠一(森林植生研究領域)・小泉 逸郎・藪原 佑樹・先崎 理之(北海道大学)・小野 理(北海道立総合研究機構・環境科学研究センター)

掲載誌

Diversity and Distributions, online first, DOI: 10.1111/ddi.12255(外部サイトへリンク)

内容紹介

単独の研究者では、生物調査を広域的に行なうことは困難です。そこで近年、市民による生物の観察記録(市民データ)を活用して生物の広域的な分布やその変化を明らかにすることに注目が集まるようになってきました。しかし、市民データは山地よりも市街地に近い場所で多く収集されるため、データは通常空間的に偏っています。そのため、市民データをそのまま解析すると、データが多く集められている地点により多くの生物が分布するという誤った結果が得られてしまうことが課題となっていました。

そこで、近年開発された「占有モデル:occupancy model」と呼ばれる統計モデルを用い、北海道全域における鳥類の市民データの解析を行ないました。占有モデルは、野外調査が行なわれることによりデータが得られるという調査過程自体をモデル化します。さらに繰り返し採取されたデータをもとに生物の発見率を推定します。そのため、生物調査が行なわれた場所が偏在すること、そして調査時に生物が見落とされていることを考慮して生物の分布を推定することができます。

農地地帯からの市民データが多かったにもかかわらず、占有モデルで解析した結果、森林性鳥類の種数は標高の低い森林地帯で高いという予測が得られました。これにより本研究では、草地性鳥類も合わせて、北海道全域の鳥の種数の地図を野外調査の結果をもとにして初めて描くことに成功しました。

本研究は、市民参加型のモニタリング手法を確立するための道を切り拓きました。広域的な生物多様性のモニタリングに大きな変革をもたらすと期待されます。

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