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2015年2月5日掲載
論文名 |
スギ伐り捨て間伐施業法の違いからみたキバチ類の発生状況 ―高知県香美市の事例― |
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著者(所属) |
松本 剛史、佐藤 重穂(森林総合研究所 四国支所) |
掲載誌 |
森林応用研究、24巻1号、応用森林学会、2015年2月(予定) |
内容紹介 |
キバチ類は産卵時にスギ・ヒノキに共生菌キバチウロコタケを接種します。そのため材の中に星形の変色ができてしまい、材価が下落するため四国で林業経営上の問題となっています。キバチ類は新鮮な伐倒木に好んで産卵することから、間伐木を林内に残置するとキバチ類の発生量が多くなり、残存木に被害が発生します。 そこで高知県香美市のスギ林で2006年春に間伐を行い、伐倒木の枝葉をつけたまま放置する全幹処理と、2mごとに切断してから放置する玉切り処理を行いキバチ類の発生量を比較しました。この結果、全幹処理からのキバチ類の羽化脱出数が多い事が分かりました。玉切り処理では全幹処理に比べ木材の含水率が高い状態が維持され、キバチ類幼虫の餌となる共生菌の生育に不適な状態となり、キバチ類の発生量が減少します。キバチ類の発生量を減少させることによってキバチ類による材変色被害は抑制されると考えられます。 キバチ類の発生を減らすには利用間伐が一番ですが、やむをえず間伐木を残置する場合には玉切り処理によりキバチ類の発生量を抑制することが出来ます。 |
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