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小笠原の海鳥を守ると、増えた巣の中で昆虫も守られる

2015年4月24日掲載

論文名

小笠原諸島で繁殖する3種の鳥類の巣に生息する鱗翅類

著者(所属)

那須 義次(大阪府病害虫防除所)・坂井 誠(共生科学)・川上 和人(野生動物研究領域)・青山 夕貴子(バードリサーチ)

掲載誌

蝶と蛾、62: 73-78、日本鱗翅学会、2014年6月

内容紹介

小笠原諸島では、貴重な島の生態系の回復のため、ヤギやネズミなどの侵略的外来種の駆除を行っています。そのおかげで、最近は在来の海鳥オナガミズナギドリの分布が拡大しています。オナガミズナギドリは、低木林や草地の地中に穴を掘り、集団で営巣します。時には、数百つがいの集団になることもあり、繁殖地には特殊な環境ができあがります。このような環境の増加は、他の生物の生息に影響を与える可能性があります。

ミズナギドリの巣が生態系の中で果たす役割を明らかにするため、巣内に共生する昆虫相を調べました。すると、オナガミズナギドリの巣には、ヒロズコガ類やメイガ類という蛾の幼虫が多数生息していることがわかりました。亜熱帯地域の低木林や草地は、高温や乾燥にさらされやすいですが、巣穴の中は温湿度が安定し、昆虫の住みやすい環境を創出している可能性があります。また、抜けた羽毛や食べ物の残りなどが、幼虫の食物になっていると考えられます。ミズナギドリの巣内の共生生物を明らかにした研究は、日本では初めてです。また、今回見つかった3種のヒロズコガは、日本で未記録の種でした。

今回の結果から、外来生物の駆除が、鳥類の回復という直接的な効果だけでなく、間接的に昆虫類の生息地の創出にも役立つことがわかりました。鳥類の回復を促進することで、同時に本来生態系にあった機能の回復につながるのです。

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