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九州の照葉樹林のヤマネ(国指定天然記念物)はほとんど冬眠しない

2015年6月15日掲載

論文名

1) 九州南部で観察された冬期におけるヤマネの活動

2) 巣箱自動撮影法であきらかになった九州北部の照葉樹林におけるヤマネGlirulus japonicusの活動周期

著者(所属)

1) 安田 雅俊(九州支所)、船越 公威(鹿児島国際大学)、南 尚志(NPOくすの木自然館、《新所属:株式会社エコロジーパス》)

2) 安田 雅俊(九州支所)、松尾 公則(長崎県生物学会)

掲載誌

1) 哺乳類科学、55巻1号、p.21-25、日本哺乳類学会、2015年6月 DOI:10.11238/mammalianscience.55.21(外部サイトへリンク)

2) 哺乳類科学、55巻1号、p.35-41、日本哺乳類学会、2015年6月 DOI:10.11238/mammalianscience.55.35(外部サイトへリンク)

内容紹介

ヤマネは、日本の固有種で、国の天然記念物に指定されている哺乳類です。小型で、木の上でおもに虫や果実、花などを食べてくらしています。最大の特徴は、食物が少なくなる秋から翌春にかけて冬眠することです。冬が厳しい本州中部以北では6〜7ヶ月もの間、冬眠することが知られていますが、温暖な関西以南の生態は、ほとんどわかっていませんでした。
まだ未知につつまれた温暖な九州の照葉樹林でのヤマネの生態をあきらかにするために、ヤマネを効率的に調査する方法を開発しました。ヤマネは樹洞(木にあいた穴)を利用します。そこで、複数の出入口のある巣箱を木の上に設置し、訪れるヤマネを自動撮影カメラで観察しました。この方法で、九州のヤマネの冬眠期間は、北部(長崎県)では2〜3ヶ月間、最南端(鹿児島県大隅半島)では20日未満であることがわかりました。ほとんど冬眠しないヤマネの存在が発見されたのは日本で初めてです。

温暖な照葉樹林では、冬でも食料を得られるために、冬眠期間が短いのでしょう。暖冬などの気候条件によっては冬眠しない個体の出現が予想されます。ヤマネの活動の季節性は、森林の植物や昆虫の季節性と密接に関係していると考えられますが、それが寿命や生態にどのような違いをもたらしているのかはまだ不明です。今後、九州のヤマネを調査することで、「冬眠すること」と「冬眠しないこと」の意義があきらかになるでしょう。

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