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あっという間に識別します ―ニホンジカ・カモシカ糞簡易識別法の開発―

2015年9月9日掲載

論文名

A novel and rapid diagnostic method for discriminating between feces of sika deer and Japanese serow by loop-mediated isothermal amplification (LAMP法を利用した斬新で迅速なニホンジカとカモシカの糞識別法)

著者(所属)

相川 拓也(東北支所)、堀野 眞一(野生動物研究領域)、市原 優(関西支所)

掲載誌

Mammalian Genome, 26:355-363, June 2015 電子版DOI: 10.1007/s00335-015-9572-0(外部サイトへリンク)

内容紹介

近年、ニホンジカは東北地方北部にも出没するようになり、今後の被害拡大が懸念されています。ニホンジカの分布域や生息密度を把握するために、ニホンジカの糞を利用する方法があります。ところが、ニホンジカの糞粒とカモシカの糞粒は形がよく似ており見た目では区別できないため、東北地方のようにカモシカが多く生息している地域では糞の数だけではニホンジカの生息状況を明確に把握することができません。

糞に含まれるDNAを調べることによって両種を識別する方法が開発されていますが、これまでは識別には長い時間と熟練が必要でした。

このたび、私たちはニホンジカとカモシカのDNA情報を利用して両種の糞を簡単・迅速かつ明確に識別できる新しい方法を開発しました。この識別法の特徴は、1) 検査試薬を一定の温度で保温するだけであり操作が極めて簡単であること、2) 検査試薬の色の変化でニホンジカの糞なのかカモシカの糞なのかを明確に識別できること、3) 従来のDNA識別法では6~8時間程度必要であった検査が、わずか75分で終了すること、などが挙げられます。

本研究により、誰でも簡単・迅速にニホンジカとカモシカの糞を識別できるようになり、両種が混在する地域での予防的対策に役立てられます。

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