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熱帯の荒廃草地への植林は糞虫の多様性を増加させる

2015年9月30日掲載

論文名

Effect of habitat transformation from grassland to Acacia mangium plantation on dung beetle assemblage in East Kalimantan, Indonesia (インドネシア共和国東カリマンタン州の食糞性コガネムシ類群集における草原からアカシアマンギウム植林地への生息地変化の効果)

著者(所属)

上田 明良(九州支所)、Dhian DWIBADRA・Woro A. NOERDJITO(インドネシア科学院)、 SUGIARTO(クタイティムール農業高校)、 近 雅博(京都市)、 越智 輝雄(豊能町)、 高橋 正義(森林管理研究領域)、福山 研二(元研究コーディネーター)

掲載誌

Journal of Insect Conservation, 19(4):765-780, August 2015、 DOI:10.1007/s10841-015-9798-x(外部サイトへリンク)

内容紹介

糞虫と呼ばれるコガネムシ上科食糞群の甲虫は、森林環境の質や劣化に応じて種組成が変化することが知られていて、熱帯地域では森林環境の指標種として盛んに研究されています。一方、先進国が自国の温室効果ガス排出量を減らす目的で行う熱帯地域の「森林でない土地」への森林造成(CDM植林)の事業化が締約国会議(COP)で承認されましたが、これを行うことによる生物多様性への影響はわかっていません。そこで、CDM植林が生物多様性に与える影響を検討するため、インドネシア共和国東カリマンタン州においてアカシアマンギウム植林地をモデルケースとして、「森林ではない土地」として焼き畑跡の荒廃地であるチガヤ草地、アカシアマンギウム植林地と、健全な天然林における糞虫の多様性を比較しました。

その結果、植林地では糞虫の種数は天然林に及ばないものの草地よりも多いこと、わずかでしたが天然林の指標種のうちの数種が植林地でもみられること、植林地の糞虫の群集構造は天然林と草原の中間に位置することがわかりました。すなわち、草地への植林は、かつてその地域の天然林内に存在していた糞虫群集の回復に貢献することがわかりました。他方、植林地でみられた天然林の指標種はわずかであったことから、植えられているアカシアマンギウムを短期で皆伐するのではなく、択伐と地域樹種の導入を組み合わせるなどの多様性向上に向けた森林管理が必要と考えられました。

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