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森林伐採による河川流出量の変化の陰に気候変動の影響あり

2015年10月16日掲載

論文名

Quantification of the effect of forest harvesting versus climate on streamflow cycles and trends in an evergreen broadleaf catchment (常緑広葉樹林流域における河川流出量の周期と長期傾向に森林伐採および気候が与える影響の評価)

著者(所属)

壁谷 直記(九州支所)、NICK A. CHAPPELL・WLODEK TYCH(ランカスター大)、清水 晃(九州支所)、浅野 志穂(水土保全研究領域)、萩野 裕章(気象環境研究領域)

掲載誌

Hydrological Sciences Journal、Taylor & Francis社、 2015年6月、DOI:10.1080/02626667.2015.1027707(外部サイトへリンク)

内容紹介

一般に森林を伐採すると河川の流出量が増える傾向があることが世界各地の流域伐採試験により確かめられています。しかし、伐採後の流出量増加が伐採による影響なのか、伐採前後の雨量の変化によるものなのか、それらの影響が十分に比較分析されてきたわけではありません。また、流域の全体を伐採する皆伐試験に比べて、一部を伐採した場合では、伐採後の流出量の増加が比較的少なく、十分な検討が行われていませんでした。

本研究では、39年にわたって水文観測を続けている森林総研の去川理水試験地の水文データに、英国ランカスター大で開発された時系列解析手法を適用して、降水・流出量のデータから、エルニーニョなどの気候変動影響による変動成分を取り除くことによって、森林伐採の影響を分析しました。同試験地では、1982年に沢沿いに流域面積の43%を皆伐する部分伐採を行い、その後の経過を観測してきました。分析の結果、部分伐採による流出量の増水効果は、気候変動の影響による変動の幅におさまり、部分伐採が流出量に有意な影響を与えたとは言えませんでした。森林伐採が流出量に与える影響を正しく評価するためには、気候変動の影響を考慮する必要があることが確かめられました。

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