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乾燥する小笠原への移入種は水の使い方が(意外に)上手

2015年10月16日掲載

論文名

Recovery of physiological traits in saplings of invasive Bischofia tree compared with three species native to the Bonin Islands under successive drought and irrigation cycles.(乾燥と潅水の繰り返しにおける、小笠原移入種および在来種苗木の生理特性の回復)

著者(所属)

矢崎 健一(植物生態研究領域)、黒田 克史(木材特性研究領域)、中野 隆史(山梨県富士山科学研究所)、北尾 光俊・飛田 博順・小笠 (山本) 真由美(植物生態研究領域)、石田 厚(京都大学生態学研究センター)

掲載誌

PLOS ONE(Public Library of Science, 米国), 10(8):e0135117, August 2015, DOI:10.1371/journal.pone.0135117(外部サイトへリンク)

内容紹介

世界自然遺産である小笠原諸島は、一度も大陸と陸続きになった事がないため、多くの固有種からなる独自の生態系を形成しています。しかし、過去に人間が持ち込んだ高木樹種のアカギ(Bischofia javanica)は、繁殖力が旺盛で成長が速く、在来植物の生育場所を奪いながら分布を広げており、小笠原諸島の生態系保全の上で大きな問題になっています。アカギは光や栄養塩を利用する能力が在来種より高いことが分かっていますが、乾燥には弱いのではないかと考えられていました。

小笠原諸島は乾燥性の気候ですが、台風が頻繁にくるため突発的な豪雨に見舞われます。そこで在来樹種3種とアカギの苗木に、乾燥と突発的な潅水を繰り返して、葉の光合成能力がどう変化するかを調べました。その結果、在来種は、乾燥が続いた時に葉をあまり落としませんが、その後突発的に水を与えても残された葉の光合成能力はあまり回復しませんでした。それに対し、アカギは乾燥時に葉を多く落とし、突発的に潅水が繰り返されると、残された葉の光合成能力が回復しました。このことは、アカギは乾燥と突発的な豪雨という極端な気象条件に在来種よりもうまく適応していることを示しています。今後の気候変動で降雨のパターンが変化した場合、在来種よりも水を有効に利用できるアカギが思わぬところに侵入してくるかもしれません。

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