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リグニンから天然物系で最高の性能を持つコンクリート用混和剤を開発

2015年11月16日掲載

論文名

Performance of Softwood Soda-Anthraquinone Lignin–Polyethylene glycol Derivatives as Water-Reducing Admixture for Concrete (針葉樹ソーダアントラキノンリグニンーポリエチレングリコール誘導体のコンクリート用化学混和剤としての性能)

著者(所属)

髙橋 史帆・細谷 修二(バイオマス化学研究領域)、服部 真美・森本 正和(株式会社日本触媒)、浦木 康光(北海道大学)、山田 竜彦(バイオマス化学研究領域)

掲載誌

Journal of Wood Chemistry and Technology、 35(5):348–354、2015年6月, DOI:10.1080/02773813.2014.968739(外部サイトへリンク)

内容紹介

木材の約3割を占めるリグニンは、地球上で最も多く存在する天然物系芳香族化合物です。リグニンは木材を化学的に処理することによって取り出すことができ、主に紙パルプや木質バイオエタノールの製造工程から、副産物として大量に得られます。リグニンの分子構造は複雑で、製造方法によって化学的特性が一定しないため、これまで工業原料として十分に利活用されていませんでした。しかし、構造が複雑であってもリグニンに機能性を付与し、材料としての特性を適切に制御できれば、高付加価値な工業原料として利用することは可能です。

コンクリート用化学混和剤とは、コンクリートの施工性を向上させるために添加する薬品で、400~500億円の市場規模があります。セメントを分散させ流動性を向上させるために添加するものが減水剤です。減水剤としては主に高分子の界面活性剤が用いられています。一般にリグニンはそのままでは水に溶けにくいものですが、化学的に親水性基(ポリエチレングリコール(PEG)鎖)を導入することで水にも油にも溶ける性質が付与(両親媒化)され、リグニンの高分子としての性状を生かした利用が可能になります。両親媒化したリグニンは高分子の界面活性剤としての機能を持ち、減水剤として利用できるようになります。本研究では、スギ材からアルカリ蒸解(木材からパルプを製造するための代表的な方法のひとつ)により調製したリグニンをエポキシ基で変成したPEGにより両親媒化を行いました。本手法により、これまで困難であった両親媒性リグニンの精密な分子設計が可能になりました。これにより、従来から使用されている天然物系のセメント減水剤であるリグニンスルホン酸系減水剤のわずか1/5の添加量でセメントに高い流動性を与えることが可能となり、高性能なコンクリート用の混和剤が開発されました。本成果は、パルプ産業等で副産されるリグニンの高付加価値利用を可能にし、林地残材等これまで未利用であった木質バイオマスの新規需要を促進させるものとして期待できます。

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