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熱帯季節落葉林の樹木が厳しい乾季を生きのびる工夫

2015年12月7日掲載

論文名

Interrelationships among dry season leaf fall, leaf flush and transpiration: insights from sap flux measurements in a tropical dry deciduous forest. (乾季の落葉と展葉、蒸散の相互関係の解明:熱帯乾燥落葉林における樹液流速測定に基づく知見)

著者(所属)

飯田 真一・清水 貴範・玉井 幸治(水土保全研究領域)、壁谷 直記・清水 晃(九州支所)、伊藤 江利子(北海道支所)、大貫 靖浩(立地環境研究領域)、Sophal Chann ・Nang Keth(カンボジア国森林野生生物研)

掲載誌

Ecohydrology , June 2015、DOI: 10.1002/eco.1650(外部サイトへリンク)

内容紹介

乾季と雨季が存在する熱帯サバナ気候下では、乾季には数か月に渡って雨が降らず、土壌は極端な乾燥状態となります。この気候下に成立する熱帯季節落葉林を構成する樹木はどのように乾季を生きのびているのでしょうか?

その謎を解くため、カンボジアの熱帯季節落葉林を対象として、根から幹を上昇して葉へ供給される樹液の流れ(樹液流速)を測定するとともに、落葉樹が葉を落とす時期、葉を出す時期を調査しました。その結果、落葉樹の大部分は乾季に入っても1~2ヶ月は葉を落とさず、乾季中盤に葉を落とした後、雨季に入る前の厳しい乾燥条件下で葉を出すことが分かりました。また、これらの樹種は空気が乾燥した時に気孔を敏感に閉じ、上手に水を利用して乾季を乗り切っていると考えられます。他方、少数ながらも、雨季に入ってから葉を出す樹種があることも分かりました。

雨季に入るのが遅く雨量も少ない年には、雨季に入る前に葉を出す樹種は長い間、乾燥にさらされます。これに対し、雨季に入ってから葉を出す樹種はそのような場合にも乾燥を避けることができ、生存競争上で有利になると考えられます。乾季、雨季に入る時期と雨量は年によって変わりますし、近年では気候変動によりこの地域の雨量が減少しているとの指摘もあります。したがって、将来、雨量が極端に減少すると、主要な生育樹種が変化する恐れもあります。

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