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シベリアタイガ林の蒸発散量は湿潤な冷夏で減少する

2016年4月21日掲載

論文名

東シベリアカラマツ林における下層植生と全生態系からの蒸発散量の年々差

著者(所属)

飯田 真一(森林防災研究領域)、太田 岳史(名古屋大学大学院生命農学研究科)、松本 一穂(琉球大学農学部)、中井 太郎(名古屋大学宇宙環境研究所)、Alexander V. KONONOV ・ Trofim C. MAXIMOV(ロシア科学アカデミー)、Michiel K. VAN DER MOLEN(オランダワーヘニンゲン大学)、Albertus J. DOLMAN(オランダアムステルダム自由大学)、矢吹 裕伯(海洋研究開発機構地球表層物質循環研究分野)

掲載誌

日本水文科学会誌、45巻4号、109-121ページ、日本水文科学会、2016年2月 DOI:10.4145/jahs.45.109(外部サイトへリンク)

内容紹介

シベリアのレナ川中流域は、高緯度にありながら夏は暑く乾燥することが多いのですが、近年、温暖化の影響により北極海の海氷面積が減少して低気圧が発生しやすくなり、雨が多く冷涼な夏が現れるようになりました。その結果、河川の水位が上昇し周辺の住民の生活にも影響が出はじめています。このような影響の広域評価あるいは将来予測には、この地域に分布する広大な針葉樹林(タイガ)における水循環の実態把握が欠かせません。

そこで、タイガ林に観測タワーを建て、樹冠上の風速、温度、湿度を測定し、蒸発散量を推定しました。その結果、湿潤な冷夏の年は、月蒸発散量が平年よりも2割近く低下することが分かりました。その原因を調べると、タイガ林では木がまばらに生えている上に葉が針葉であるために空気が混ざりやすいため、蒸発散量は光の強弱よりも大気の乾湿の影響を強く受け、大気が湿潤なほど蒸発散量が減少することが明らかになりました。

湿潤な冷夏の年は雨量が多く、同時にタイガ林の蒸発散量が減少するため、河川に流出する水量が増えて、河川の水位がさらに上昇する恐れがあります。このようなことから、今後も注意深く気候変動の影響を監視してゆく必要があります。

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