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風倒被害は炭素吸収量に長期にわたり大きな影響を与える

2016年5月9日掲載

論文名

Effects of a windthrow disturbance on the carbon balance of a broadleaf deciduous forest in Hokkaido, Japan (北海道の落葉広葉樹林における風倒による撹乱が炭素収支へ与える影響)

著者(所属)

山野井 克己・溝口 康子(北海道支所)、宇都木 玄(植物生態研究領域)

掲載誌

Biogeosciences, 12, 6837–6851, Dec. 2015, DOI:10.5194/bg-12-6837-2015(外部サイトへリンク)

内容紹介

地球温暖化の大きな要因である二酸化炭素を吸収する上で、森林は重要な役割を果たしています。そのため、温暖化の影響を評価し適切な適応策をとるには吸収量を正確に知ることが重要です。森林の炭素吸収量は気象条件で変化すると同時に、森林そのものの変化にも影響されます。しかし、森林を劇的に変化させる気象害などの撹乱が吸収量に与える影響は十分明らかになっていません。そこで、2004年の台風18号により大きな風倒被害を受けた北海道にある森林総合研究所北海道支所内の落葉広葉樹林において、撹乱前後の詳細な炭素収支を調べました。

データを解析した結果、撹乱前の森林は炭素吸収源となっていましたが、撹乱後は放出源に変わったことがわかりました。札幌市羊ヶ丘にあるこの森林では1999年から二酸化炭素等の測定を継続して行っていますが、2004年の台風で約40%の立木が倒れ林床に残されました。残置された風倒木は微生物により分解されていきますが、このとき二酸化炭素が放出されます。一方、撹乱後に繁茂したササなどの下層植生は吸収に貢献します。森林全体の炭素放出量は撹乱後6年ほど増加し続けましたが、その後は緩やかに減少しつつあります。こうした年々変化は、上記二つの要素を反映したものです。他の森林の結果も交えて比較すると、撹乱後に風倒木を残置したことは炭素放出を長く継続させる原因となっていました。

この結果は、森林撹乱は炭素吸収量へ大きな影響を及ぼし、森林が吸収源に戻るのに10年以上かかり、撹乱後の枯死木の取り扱いによっては影響がさらに長期に及ぶことを示しています。撹乱は様々な強度で繰り返し発生し長期にわたる影響を及ぼすため、中長期的に炭素吸収量を評価する場合にはそれを考慮しなければなりません。

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