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アラスカ亜寒帯林樹木の葉の特徴は生活形で異なる

2016年5月9日掲載

論文名

Morphological and physicochemical traits of leaves of different life forms of various broadleaf woody plants in interior Alaska (内陸アラスカにおける異なる生活形の多様な広葉木本の葉の形態と物理化学特性)

著者(所属)

田中 憲蔵(植物生態研究領域)・田中(小田) あゆみ(立地環境研究領域)・松浦 陽次郎(国際連携推進拠点)・ラリー D ヒンズマン(アラスカ大)

掲載誌

Canadian Journal of Forest Research、2016年1月オンライン出版、DOI:10.1139/cjfr-2015-0417(外部サイトへリンク)

内容紹介

亜寒帯林は、植物にとって光合成に好適な期間が短く、無機化速度が遅いため利用可能な土壌養分も制限された厳しい環境です。このような厳しい環境を生き抜くために樹木はどのような工夫をしているのか明らかにするために、植物の光合成にとって大切な葉の特徴に注目しました。この研究では、永久凍土が分布するアラスカ内陸部の広葉樹39種を対象に、樹木の生活形間(高木、中層木、林床木)の葉の特徴との関連から植物の環境適応性について調べました。また、葉内の維管束の周囲に発達する維管束鞘延長部(延長部)にも着目しました。延長部を持つ葉は異圧葉、持たない葉は等圧葉と呼ばれています。延長部は、光透過性や水分輸送能力に優れ、等圧葉樹種に比べ光合成能力が高いことが知られています。

樹木の生活形と葉の特徴とを比較した結果、両者の間には密接な関係が見られました。林床木には常緑樹が多く、約半数を占めましたが、中層木や高木のほとんどが落葉樹でした。中層木や高木の落葉樹は光合成活性に直結する窒素濃度が高く、異圧葉樹種が8割近くを占めました。樹高が高く、明るい環境で生活する落葉樹は、異圧葉を持ち窒素濃度を高めることで高い光合成生産を行い、短命な葉の製造コストを短期間で回収していると考えられました。一方、林床に多い常緑樹は、窒素濃度が低く光も弱いため光合成は制限されるものの、葉が分厚く強度も落葉樹の2倍以上あるため葉寿命を延ばすことができ、葉の製造コストを長期間で回収していると考えられました。このように、アラスカ亜寒帯林の樹木は、生活形に伴う環境に応じて異なる葉の特徴を持つことで厳しい環境に適応し、生活していることが分かりました。

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