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越境大気汚染を考慮した水質汚染リスクの分布を明らかにしました

2016年6月7日掲載

論文名

Mapping the relative risk of surface water acidification based on cumulative acid deposition over the past 25 years in Japan. (過去25年間の酸累積負荷量を用いた全国の陸水酸性化リスクマップ)

著者(所属)

山下 尚之(立地環境研究領域)、佐瀬 裕之(アジア大気汚染研究センター)、大泉 毅(新潟県保険環境科学研究所)、黒川 純一(アジア大気汚染研究センター)、大原 利眞・森野 悠(国立環境研究所)、栗林 正俊(長野県環境保全研究所)、太田 誠一(国際緑化推進センター)、金子 真司(立地環境研究領域)、林 健太郎(農業環境変動研究センター)、福原 晴夫(河北潟湖沼研究所)、袴田 共之(浜松ホトニクス)

掲載誌

Journal of Forest Research, vol.21, March 2016, DOI 10.1007/s10310-016-0523-8(外部サイトへリンク)

内容紹介

図1 全国の森林域における陸水(渓流水や湖沼水)の酸性化リスクマップ
図1 全国の森林域における陸水(渓流水や湖沼水)の酸性化リスクマップ。

空白は森林の分布面積が少ない農耕地・住宅域を示す.記載論文の図を
一部改変して使用した。

 

日本では過去に深刻な大気汚染を経験しており、酸性雨等の大気汚染物質が大都市近郊の森林の渓流水質を悪化させてきました。しかし、近年のPM2.5に代表される越境大気汚染により、現在は日本海側の森林への影響が心配されています。被害を未然に防ぐため、水質汚染が起きやすい地域を新たに予測する必要に迫られています。
そこで、1981年から2005年までの25年間に日本列島に降り注いだ硫黄と窒素の量の空間分布を利用して、近年の越境大気汚染の影響を考慮した陸水(渓流水や湖沼水)の酸性化リスクを広域に評価し、マップとして示しました(図1)。このマップの空間解像度は20kmであり、リスクの高い地域を市町村レベルの範囲で特定できます。その結果、中部地方を含む西日本の広い範囲の森林で渓流水等の酸性化リスクが相対的に高いことが分かりました。北陸や山陰における酸性化のリスクは大都市近郊と同程度かそれ以上に高まっています。
この結果を用いると、酸性化による水生生物への影響を調べる際に、調査地点を効率的に選定できます。また、リスクの高い地域において重点的に長期モニタリングを実施すれば、将来的な渓流水質の汚染をいち早く検出できます。
本研究の成果は、13カ国の政府機関が参加する東アジア酸性雨モニタリングネットワークの会合で紹介され、越境大気汚染の削減に向けた議論の材料としても活用されています。

 
酸性化リスク:将来的な酸性化の危険度。酸性化は水質汚染の目安の一つであり、生物への悪影響が指摘されている。

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