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2016年7月4日掲載
論文名 |
Lymantria mathura nucleopolyhedrovirus: identification, occurrence and genetic diversity in Iwate Prefecture, Japan (カシワマイマイ核多角体病ウイルス:その正体と岩手県における発生および遺伝的多様性) |
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著者(所属) |
高務 淳(森林昆虫研究領域) |
掲載誌 |
Journal of Invertebrate Pathology, 138, 1-9, July 2016, DOI:10.1016/j.jip.2016.05.006(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
一昨年、全国各地で勃発した毛虫の大発生が、多くのマスメディアに取り上げられ、世間を騒がせたのは記憶に新しいところです。大発生した毛虫の食欲は凄まじく、山を丸裸にしてしまうほどでした。また、市街地では毛虫の親である蛾が商店や民家の照明に飛来し、深刻な不快害虫となりました。このような毛虫の大発生は、しばしば病気によって終息することが知られています。広葉樹の葉を食べるカシワマイマイもこのような大発生する毛虫ですが、本種に高率で感染して殺してしまう病気の正体は明らかにされていませんでした。 岩手県において大発生したカシワマイマイは、ウイルスに感染し、大量に死亡しました。このウイルスは、昆虫に感染する新種のウイルスであることが分かりました。また、マイマイガという毛虫も岩手県において同時期に大発生をしましたが、やはり、ウイルスによる流行病が発生して大量に死亡しました。マイマイガを殺したウイルスは、カシワマイマイを殺したウイルスとは別の既知のウイルスであることが明らかになりました。 本研究の成果は、カシワマイマイの大発生終息の機構解明や、本種の防除法の開発に役立つと期待されます。
写真:ウイルス病で死亡したカシワマイマイ
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