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伊豆大島の斜面崩壊発生地の樹木重量を推定

2016年7月29日掲載

論文名

伊豆大島2013年10月16日斜面崩壊発生地点周辺の樹木の現存量

著者(所属)

伊東 宏樹(森林植生研究領域)、松井 哲哉・飛田 博順(植物生態研究領域)、五十嵐 哲也(森林植生研究領域)、小川 明穂(元水土保全研究領域)、松浦 陽次郎(国際連携推進拠点)

掲載誌

森林総合研究所研究報告、15巻1号、森林総合研究所、2016年6月

内容紹介

気候変動により集中豪雨が今後増加するとの予測もあり、激甚化する土砂災害への対策が各地で求められています。森林には樹木根系による斜面崩壊防止機能がある一方、樹木の自重や倒伏時のモーメントが斜面への負荷となることもあり、後者の場合、樹木の地上部と地下部の重量とその比率が重要な情報になります。

この研究では、2013年10月、台風26号にともなう集中豪雨により伊豆大島三原山の外輪山斜面で発生した大規模な斜面崩壊を対象に、崩壊発生地点に隣接するオオシマザクラ優占林と、この森林の上下に分布するヒサカキーハチジョウイヌツゲ林とスダジイ林の3タイプの森林について、地上部と地下部の現存量を調べました。一般に樹木の現存量は乾燥時の重量(乾重量)で表現しますが、斜面への荷重を評価するため生存状態での重量(生重量)を推定しました。その結果、3タイプの森林での全樹木を合わせた生重量は363〜455t/ha、253~506t/ha、659t/ha、地上部と地下部の重量比(T/R比)は、2.9〜3.8、2.7~2.8、2.9と推定されました。これらの値は、日本の一般的な森林の平均と同じか、あるいは小さい値に相当し、今回の崩壊発生地付近の森林は特に根の少ない状態ではなかったことが分かりました。

この研究で得られた森林の地上部と地下部の生重量は、極端な豪雨にともない発生した大規模崩壊の現場で得られた貴重な情報であり、今後、斜面安定に及ぼす森林の影響や効果の定量的評価に活かしていきます。

 

写真:伊豆大島の斜面崩壊跡地と、それに隣接する森林

 

 (写真:伊豆大島の斜面崩壊跡地と、それに隣接する森林)

 

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