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遺伝子地図を使ってスギの雄性不稔遺伝子を新たに特定

2016年8月17日掲載

論文名

A high-density linkagemap with 2,560 markers and its application for the localization of themale-sterile genes ms3 and ms4 in Cryptomeria japonica D. Don.
(2,650個のマーカーによるスギの高密度連鎖地図の構築と雄性不稔遺伝子 ms3およびms4の位置の特定への応用)

著者(所属)

森口 喜成(新潟大学)、内山 憲太郎・上野 真義・伊原 徳子・松本 麻子(樹木分子遺伝研究領域)、岩井 淳治・宮嶋 大介(新潟県森林研究所)、齋藤 真己(富山県林業技術センター)、佐藤 雅哉(新潟大学)、津村 義彦(筑波大学)

掲載誌

TreeGenetics & Genomes、12(3):57、Springer、May 2016、DOI:10.1007/s11295-016-1011-1(外部サイトへリンク)

内容紹介

毎年春先になるとスギ花粉症が大きな社会問題になっています。スギ花粉症対策として、花粉を飛ばさない雄性不稔スギ(「無花粉スギ」ともいいます)を活用する方法が考えられています。雄性不稔スギでは花粉が形成される過程に異常が見られるため、正常な花粉が生産されません。その結果として花粉を飛散することができなくなります。現在までに花粉の形態と交配家系を利用した遺伝分析によって4種類の雄性不稔遺伝子(ms1ms4)の存在が予測され、ms1ms2はすでに染色体上の位置が特定されましたが、ms3ms4については実態が不明でした。

このたび、雄性不稔スギを使用した交配家系で遺伝分析を行い雄性不稔遺伝子ms3およびms4の存在する場所を遺伝子地図上に特定することに成功しました。その結果、雄性不稔遺伝子ms3ms4は、それぞれ第1連鎖群と第4連鎖群と呼ばれる別々の染色体上に位置することがわかりました。これらは今までに知られている雄性不稔遺伝子ms1(第9連鎖群)とms2(第5連鎖群)とも別の染色体上に位置しており、いずれも別の遺伝子であることが確かめられました。

この結果は、4種類の全く異なる雄性不稔遺伝子を利用することで多様な「無花粉スギ」の育種を行なえることを示唆しており、今後の花粉症対策に対して重要な知見を与えることができました。

 

雄性不稔遺伝子ms1〜ms4のスギ遺伝子連鎖地図上でのそれぞれの位置

 

図:雄性不稔遺伝子ms1ms4のスギ遺伝子連鎖地図上でのそれぞれの位置

 

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