研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2016年紹介分 > 夜行性鳥類ヨタカは森林と農地が混在する地域を好む
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2016年8月17日掲載
論文名 |
Effects of land use andclimate on the distribution of the Jungle Nightjar Caprimulgus indicus in Hokkaido, northern Japan(北海道におけるヨタカの分布に土地利用と気候が及ぼす影響) |
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著者(所属) |
河村 和洋(北海道大学)、山浦 悠一(森林植生研究領域)、先崎 理之・藪原 佑樹・赤坂 卓美・中村 太士(北海道大学) |
掲載誌 |
Ornithological Science、15(2):203-212、July 2016、DOI:10.2326/osj.15.203(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
宮沢賢治の童話の主人公にもなった夜行性鳥類のヨタカは、かつては日本で一般的に見られた種です。その「キョキョキョキョキョ」という甲高い鳴き声は、古くから日本人に親しまれてきました。本種は森林の伐採地や若い植林地に営巣することが知られていますが、現在日本で最も減少している種の一つであり、その原因として、若い森林や草地の減少が指摘されています。 本研究では、ヨタカの生息調査を北海道全域で行ない、ヨタカの広域分布を決定する要因を調べました。その結果、ヨタカは気候が温暖で、森林と農地がモザイク状に混在している地域に多く(森林率が約75%の地域で個体数は最大化しました)、気候よりも森林率の影響が大きいことが明らかになりました。今後の温暖化に伴いヨタカの分布が北上する可能性もありますが、耕作放棄地が森林化することによる生息場所の減少が懸念されます。イギリスでは、林業活動によって若い森林を作り出すことで、ヨタカを保全できると指摘されています。日本における森林・林業の再生に向けた取組が、ヨタカの個体数の広域的な回復に貢献できる可能性があります。
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