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西日本のツキノワグマの遺伝的多様性が減っている

2017年1月12日掲載

論文名

Loss of allelic diversityin the MHC class II DQB gene inwestern populations of the Japanese black bear Ursus thibetanus japonicus(ツキノワグマの西日本個体群におけるMHC遺伝子の多様性低下)

著者(所属)

石橋 靖幸(北海道支所)、大井 徹(石川県立大)、有本 勲(白山ふもと会)、藤井 猛(広島県庁)、間宮 寿賴(富山県自然博物園)、西 信介(鳥取県林業試験場)、澤田 誠吾(島根県中山間地域研究センター)、田戸 裕之(山口県農林総合技術センター)、山田 孝樹(四国自然史科学研究センター)

掲載誌

Conservation Genetics、Springer、2016年10月、DOI:10.1007/s10592-016-0897-3(外部サイトへリンク)

内容紹介

西日本の3つのツキノワグマ地域個体群(西中国山地、東中国山地、四国)は、レッドデータブックで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されています。これまでの研究から、これらの個体群では、本州中部~東北地方の個体群と比べて、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)というタンパク質を作る遺伝子の多様性が低いことがわかっており、過去に著しく個体数が減少したこととの関係が指摘されています。

今回、私たちは新たに2001­~13年に集めたツキノワグマのDNAサンプルを調べ、少し古い年代のサンプルを用いた先行研究と多様性を比べました。その結果、3つの地域個体群や近畿北部の個体群では、先行研究で低い頻度で見られた遺伝子のタイプ(対立遺伝子)の多くが無くなり、多様性がさらに低下していることがわかりました。歯の年輪を調べたところ、私たちのサンプルは1980年代のなかば以降に生まれたクマに由来するものでした。したがって、今回見られなかった対立遺伝子はその頃までに消失したことがわかりました。

1980年代以降の保護活動により西中国や東中国個体群では個体数は増えつつありますが、それに対して遺伝的な多様性はかなり低下していることが明らかになりました。MHC遺伝子の多様性が低い個体群では、免疫機構が認識できないタイプの病原体による伝染病が蔓延するおそれがあります。この結果は今後これらの地域個体群を健全に保全するために必要な対策に活用されます。

 

写真:ツキノワグマ

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