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ツキノワグマは不作の年でもミズナラのドングリを探し求めていた

2017年1月27日掲載

論文名

ブナ科堅果結実量の年次変動にともなうツキノワグマの秋期生息地選択の変化

著者(所属)

根本 唯(東京農工大学、現福島県環境創造センター)、小坂井 千夏(東京農工大学、現農業・食品産業技術総合研究機構)、山﨑 晃司(茨城県自然博物館、現東京農業大学)、小池 伸介(東京農工大学)、中島 亜美(東京農工大学、現東京動物園協会)、郡 麻里(森林総合研究所、現日林協)、正木 隆(森林植生研究領域)、梶光 一(東京農工大学)

掲載誌

哺乳類科学、56巻2号、日本哺乳類学会、2016年12月

内容紹介

広葉樹林(ミズナラ主体)・針葉樹人工林・農地・果樹園などがモザイク状に分布する足尾・日光山地で、ツキノワグマの秋の行動パターンと野生のドングリの作柄の関係を調べました。この研究ではミズナラのドングリに着目し、その作柄が凶作だった2006年、作柄が平年並だった2007年を調査の対象としました。そして、5頭のツキノワグマの行動をGPSで追跡し、ツキノワグマが長い時間滞在していた現場に行って植生を調べ、また、高精度植生図の上にその移動経路を重ね合わせて分析しました。

作柄の平年並だった2007年には、ツキノワグマはミズナラが多く生育する場所に長く滞在する傾向がみられ、高精度植生図上でもそれを確認することができました。

ミズナラの不作だった2006年にもツキノワグマはミズナラの木の多い場所に長く留まる傾向がみられました。この年は、ドングリを実らせる他の樹種(クリやコナラ)が多少は結実していましたが、高精度植生図を使った分析からは、植生図では判読できないほどのミズナラの小集団や単木を探し求めている様子がうかがえました。

以上の結果から、この山地に棲むツキノワグマにとって、あくまでもミズナラが秋の重要な食べ物であることがわかります。たとえミズナラが不作の年であっても、ツキノワグマは強いこだわりをもってミズナラを一本一本、その結実を確認して歩きまわっているのかもしれません。

 

写真1:ツキノワグマが登ってドングリを食べた痕跡の残る調査地のミズナラ

写真:ツキノワグマが登ってドングリを食べた痕跡の残る調査地のミズナラ

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