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シマフクロウの分布の拡大を予測する

2017年6月12日掲載

論文名

動的分布モデルを用いたシマフクロウの個体群再生計画下における分布拡大予測

著者(所属)

吉井 千晶(北海道大学、現:(株)建設技術研究所)、山浦 悠一(森林植生研究領域)、小林 慶子(北海道大学、現:国立環境研究所)、竹中 健(シマフクロウ環境研究会)、赤坂 卓美(北海道大学、現:帯広畜産大学)、中村 太士(北海道大学)

掲載誌

保全生態学研究、22巻1号、105-120、2017年5月

内容紹介

シマフクロウは魚食性の大型フクロウで、世界でも北海道と中国・ロシアの東部にのみ生息します。本種はかつて北海道全域に分布していたとされますが、河畔林の伐採や河川環境の改変などにより大きく数を減らし、現在国内希少野生動植物種に指定されています。近年は道東を中心に個体数は回復しつつありますが、さらに保護を図っていく必要があります。

そこで本研究では、シマフクロウの分布適地を統計モデルによって推測し、今後の分布拡大過程を予測しました。その結果、河川沿いに天然林が多く残されている場所がシマフクロウにとって好適な環境であり、分布の拡大を図るためには繁殖成功率を増加させることが重要であることが分かりました。また、夕張山地へシマフクロウの個体群が新たに分布を拡大すると予測されました。しかし、分散経路が複数存在することなどから、分布の将来予測には大きな不確実性があることも示されました。そのため、継続的なモニタリングと保護活動を並行して行なっていく必要があると考えられました。

図1:統計モデルによって予測された現在の環境下でのシマフクロウの生息適地
図1:統計モデルによって予測された現在の環境下でのシマフクロウの生息適地

図2:土地利用が変化しないと仮定した場合の50年後のシマフクロウの分布予測
図2:土地利用が変化しないと仮定した場合の50年後のシマフクロウの分布予測
将来予測(シミュレーション)を1,000回行ない、分布の確率が高かった場所を示しています。現在生息地ではない夕張山地(赤丸で示す)に分布が拡大する可能性が示唆されました。標高の高い場所や都市域はシマフクロウの分散に適さない場所(分散の障壁)として扱っています。

 

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