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針葉樹人工林の土壌動物が落葉広葉樹林と違うのは、土壌の性質のためだけではない

2017年7月18日掲載

論文名

Assessment of the effects of soil and the site environment on collembolan community structure in deciduous forest and coniferous plantations using soil monolith transfer(土壌ブロック交換法を用いた広葉樹林と針葉樹人工林のトビムシ群集に与える土壌とサイトの環境の効果の検討)

著者(所属)

長谷川 元洋(四国支所)、岡部 貴美子(生物多様性研究拠点)

掲載誌

European Journal of Soil Biology、81:11-18、July-August 2017、DOI: 10.1016/j.ejsobi.2017.05.008(外部サイトへリンク)

内容紹介

森林の生物多様性を保全するためには、それぞれの森林に住む生き物にとって、どのような環境条件が重要かを詳しく知る必要があります。この研究では、落葉広葉樹林から針葉樹人工林への変換が起こった場所において、それぞれの森林に住む土壌動物にとってどのような環境条件が重要かを調べました。土壌動物の主要なグループであるトビムシ(体長:0.3-2mm)の種類や数(群集構造)は針葉樹人工林と落葉広葉樹林で異なる事が知られています。しかし、それが土壌の性質の違いによるのか、それ以外の要因(森林微気象、下層植生等)によるのかは分かっていませんでした。

そこで、針葉樹人工林と落葉広葉樹林の土壌を円筒状(底面積25cm2×深さ5cm)に切り取り、中のトビムシごと入れ替える事により(写真)、土壌の性質がどの程度、重要かを調べました。もし土壌の性質が重要なら、入れ替えた土壌の中で元のトビムシ群集が維持されるはずです。しかし実験の結果、入れ替えた土壌中のトビムシ群集は速やかに変化し、入れ替えた先の森林のトビムシ群集に近くなりました。従って、森林タイプ間のトビムシ群集の違いには、土壌の性質よりもそれ以外の要因(森林微気象、下層植生等)が重要であると考えられました。

こうした事実を明らかにすることで、それぞれの森林に生息する生物を維持する要因を知ることができ、人工林の生物多様性の管理指針を考える際に役立つ事が期待されます。
 
写真:スギ人工林の中に落葉広葉樹林の土壌を設置した状態

写真:スギ人工林の中に落葉広葉樹林の土壌を設置した状態

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