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カンボジアの砂地林は伐採後の回復に長い時間が掛かる

2017年11月7日掲載

論文名

Stand carbon dynamics in a dry Cambodian dipterocarp forest with seasonally flooded sandy soils.
(季節的に冠水する砂地土壌に生育するカンボジア乾燥フタバガキ林における林分炭素動態)

著者(所属) 伊藤 江利子・ 古家 直行(北海道支所)、鳥山 淳平・大貫 靖浩・清野 嘉之・荒木 誠(森林総合研究所)、Heng SOKH・Sophal CHANN・ Saret KHORN・ Vanna SAMRETH・ Thea SO ・ Bora TITH・ Samkol KETH ・ Chandararity LY ・ Phallaphearaoth OP(カンボジア森林局)、門田 有佳子・神崎 護(京都大学)
掲載誌

Cambodian Journal of Natural history, 2017: 109-127

内容紹介

発展途上国においては、森林の急激な減少が懸念されています。私たちは、森林開発が急速に進むカンボジアで、2002年から森林の動態調査を続けています。調査地のひとつである砂地林は沖積性の貧栄養の砂質土壌の上に成立します。フタバガキ科のDipterocarpus obtusifoliusが優占する、種多様性に乏しい落葉林です。

この砂地林での長期にわたる動態調査の結果、砂地林は成長が遅く、炭素蓄積量の増加速度はカンボジアのその他の落葉林の増加速度の半分以下であることがわかりました。また枯死する樹木や新たに芽生え生育する樹木(加入)が少ないことも明らかになりました。この調査地では、2014年に違法伐採が起こり、樹木の炭素蓄積量の43%が失われました。失われた蓄積は過去30年分の成長量に相当しますが、残存木による蓄積の回復にはより長い時間が掛かると推定されます。また新規個体の加入率が低いため、樹木が伐採された場所では無立木の状態が長く続くことも懸念されます。

この研究により、砂地林は人為的な攪乱がない状態では変化の少ない林である一方で、一度攪乱が起こると植生回復が難しく、変化に脆弱な林であることが分かりました。持続可能な森林利用のためには、成長の速度や新規個体の加入等の森林動態の特徴を踏まえた管理を行うことが重要であり、本研究の成果は新たな管理指針の作成に役立ちます。

 

写真:砂地林における違法伐採の様子

写真:砂地林における違法伐採の様子。
この樹種(ウルシ科)の稚樹はプロット内に生育しておらず、伐採後の更新は難しい。

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