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泥濘化しやすい黒色土に対する林内での機械作業の影響

2018年1月16日掲載

論文名

黒色土における林内走行の影響 ―ホイール式車両を用いたCTLシステムの事例―

著者(所属) 鈴木 秀典・中澤 昌彦・佐々木 達也・上村 巧・吉田 智佳史・陣川 雅樹(林業工学研究領域)、戸田 堅一郎・大矢 信次郎・髙野 毅(長野県林業総合センター)、近藤 道治(元長野県林業総合センター)
掲載誌

森林利用学会誌、32巻、3号、123-130、森林利用学会、2017年7月、DOI:10.18945/jjfes.32.123(外部サイトへリンク)

内容紹介

先進的な作業システムの一つとされるCTLシステム注)は、伐倒から丸太の運搬までのすべての工程を機械で行うことができ、生産性だけでなく、作業員の安全性も向上します。しかし、機械が林内を走行するため、林内の土壌の締固めなどの影響が懸念されています。また、日本に多く分布している黒色土注)のように、泥濘化注)して土壌が軟らかくなる土壌での走行による影響については十分な解明がなされていません。

そこで、黒色土においてCTLシステムで間伐作業をした場合の土壌締固めについて調べました。調査の結果、黒色土は走行回数が増えると、初めの数回の走行で土壌が硬くなるものの、さらに走行すると軟らかくなる泥濘化が確認できました。しかし、2年後の計測では、泥濘化の有無にかかわらず土壌は硬くなっていることが観察され、泥濘化による走行直後の硬度減少は一時的なものだったことがわかりました。このことは、これまでの常識を覆し、黒色土でも走行しなくなると土壌の硬化が起こることを示しています。

この結果から、黒色土でのCTLシステムによる間伐作業において、泥濘化の有無にかかわらず短期的には土壌が硬くなってしまうことが確認されました。一方で、一般に締固めの影響は10年前後で回復するとされています。長期的に土壌の状態がどのように変化し、残された林木や作業後に植栽される苗木にどのような影響があるかを明らかにすることが今後の課題です。同時に黒色土の性質に合った作業方法を考えるための成果としても意義があります。

 

注)CTL(Cut-to-Length)システム:立木を伐倒し、枝を切り払い、丸太を造る作業を行うハーベスタと、丸太を荷台に積んで運搬するフォワーダによる作業システム。

注)黒色土:主に火山灰から生成した黒い土。含水比が高い。

注)泥濘化:こね返されることによって土壌が軟らかくなること。黒色土や関東ロームなど含水比が高い土壌で起こりやすい。


写真:ホイール(タイヤ)式ハーベスタ

写真:CTLシステムで、林内を走行しながら立木を伐倒し、枝を切り払い、丸太を造る作業を行うホイール(タイヤ)式ハーベスタ

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