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猛毒のシキミ種子を運ぶ動物がいた

2018年3月2日掲載

論文名

Highly toxic seeds of the Japanese star anise Illicium anisatum are dispersed by a seed-caching bird and a rodent
(猛毒性のシキミの種子は種子貯留行動を行う鳥とネズミによって散布されていた)

著者(所属)

吉川 徹朗(森林植生研究領域、現京都大学)、正木 隆(企画部)、本岡 允・日野 大智・上田 恵介(立教大)

掲載誌

Ecological Research, 33(2): 495-504, January 2018, DOI:10.1007/s11284-018-1564-6(外部サイトへリンク)

内容紹介

シキミの果実はパン!と弾け、その時に種子がばらまかれることが知られていますが、飛ぶ距離はたいへん短く10mにも達しません。しかし、シキミは暖温帯に広く分布しています。何らかの動物がシキミの種子を食べるために遠くまで運んで隠し、食べ忘れられた種子が芽生えることで分布を広げてきたとしか思えません。猛毒で知られるシキミの種子をあえて食べようとする動物が本当にいるのでしょうか?そこで伊豆半島でシキミの種子の生態を調べたところ、ヤマガラが樹上で果実の中から種子を取り出して食べるか、または持ち去っていることがわかりました。その一方で、ヒヨドリなどもっと個体数の多い鳥はシキミ種子に見向きもしていませんでした。また、地上に落ちた種子はヒメネズミが持ち去っていました。さらに現地でシキミの実生の分布を調べたところ、倒木の側といった鳥などの小動物が好んで種子を隠す場所に多く生えていました。おそらくヤマガラやヒメネズミはシキミの猛毒に対処する仕組みをもっており、シキミの種子の広がりに貢献しているのだと考えられます。

図:観察したシキミにやってきた動物の数

図:観察したシキミにやってきた動物の数。
9月から10月にかけて晴れまたは曇りの日を6日間選び、朝8時から夕方3時までの時間帯にシキミを観察して訪問してきた動物とその行動を記録しました。9本のシキミを対象とし、合計で93.2時間の観察を行いました。写真は観察中のシキミにやって来て、果実をついばんでいるヤマガラを撮影したものです。

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