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間伐が森林からの流出量に与える影響を流域スケールで明らかに

2018年3月29日掲載

論文名

Effects of thinning on canopy interception loss, evapotranspiration, and runoff in a small headwater Chamaecyparis obtusa catchment in Hitachi Ohta Experimental Watershed in Japan

(常陸太田試験地内の源頭部小流域における間伐が樹冠遮断量、蒸発散量および流出量に与える影響)

著者(所属)

久保田 多余子(研究企画科)、坪山 良夫(企画部)、延廣 竜彦(北海道支所)

掲載誌

Bulletin of FFPRI(森林総合研究所研究報告)、17(1):63-73、March 2018

内容紹介

わが国では人工林の半数が成熟期を迎えていますが、間伐が十分に行われてきていません。間伐を実施しない森林では樹木が混みあって生長が悪く、森林が崩壊を防止する機能が低下したり、風雪害に弱くなったりすることが心配されています。このようなことから、林野庁では間伐を促進しています。一方で、間伐を実施することにより森林の水源涵養機能が低下するのではないかと心配されるようになりました。これまで、わが国では間伐が水源涵養機能に与える影響について、主に林分プロットのスケールで林内雨量の変化を調べてきましたが、流域スケールで流出量の変化を測定した例はほとんどありませんでした。そこで、23年生のヒノキ林の小流域(0.82ha)を強度に間伐(本数で50%、材積で30%)して、林内雨量や蒸発散量がどのように変化し、その結果として流出量がどのように変化するのかを、間伐しない流域と比較して調べました。間伐は土壌表面を攪乱しないように行い、間伐木はその場に切り捨てました。

間伐により年流出量は間伐翌年に38mm、2年後に147mm増加し、3年後には間伐前の水準に戻りました。林内雨量は降雨量に対する割合で間伐前の80%から82%に増加しました。林内雨量の増加量が小さいのは、樹木の本数が半分に減ったことで、樹冠を通過して土壌表面に到達する雨量は増えましたが、樹幹を伝わって流下する雨量が減少したためでした。間伐後3年間の平均年蒸発散量は140mm減少し、特に夏場の蒸発散量が大きく減少しました。これは間伐をすると単木当たりの蒸散量は増えると考えられますが、樹木の本数が減ったことにより流域全体としては蒸散量が減少し、流出量の増加につながったと考えられます。

このように、間伐は短期的には蒸発散量を抑え、流出量を増加させて、水源涵養機能を高める効果があると考えられました。

 

図:この図は間伐による流出量の増加の効果を示しています。

図:この図は間伐による流出量の増加の効果を示しています。年流出高とは年流出量(水の体積)を流域面積で割った値です。実線は間伐前の間伐流域と無間伐流域の流出量から求めた関係、すなわち、間伐を行わなかった場合の両流域の流出量の関係です。間伐後の間伐流域の流出量(黒丸(●))と実線との差が間伐による流出量の増加量になります。

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