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高精細リモートセンシングで熱帯林のバイオマスを推定するための効率的な手法を開発

2018年4月27日掲載

論文名

Object-Based Mapping of Aboveground Biomass in Tropical Forests Using LiDAR and Very-High-Spatial-Resolution Satellite Data
(LiDARと高空間分解能衛星データを用いた熱帯林における地上バイオマスのオブジェクトベースマッピング)

著者(所属)

平田 泰雅(研究ディレクター)、古家 直行(北海道支所)、齋藤 英樹(森林管理研究領域)、Chealy Pak(カンボジア森林局)、Chivin Leng(カンボジア環境省)、Heng Sokh・ Vuthy Ma(カンボジア森林局)、加治佐 剛(鹿児島大学)、太田 徹志・溝上 展也(九州大学)

掲載誌

Remote Sensing, 10(3): 48 (21 pp.), March 2018, DOI:10.3390/rs10030438(外部サイトへリンク)

内容紹介

熱帯林の減少、劣化は気候変動の大きな要因の一つとなっています。このため国連主導でREDDプラスという途上国での森林減少、劣化を抑制する枠組みが作られました。REDDプラスの実施により森林減少、劣化で排出される二酸化炭素をどの程度削減できたかを評価するためには科学的なアプローチが必要です。これまで、リモートセンシングを用いて森林の面積変化を求め、地上調査により単位面積当たりの炭素蓄積量をバイオマスから算出する方法が推奨されてきました。しかし、森林へのアクセスの難しさや人材の制約から十分な地上調査データを国レベルで得られないことが問題でした。

そこで、国レベルでの地上調査を実施する代わりに、高精細に森林情報が得られる航空機LiDAR(注)と高分解能衛星を用いて地域や森林タイプごとの森林のバイオマスを推定する手法を開発しました。まず、費用は高いがバイオマスを精度よく推定できる航空機レーザスキャナを用いて限られた範囲での森林バイオマスを推定しました。次に、この推定値を用いて航空機レーザスキャナよりも安価な高分解能衛星データから森林バイオマスを推定するモデルを作成することで、広域での森林バイオマスを推定することが可能になりました。

この手法を用いることにより地上調査に代わって効率よく地域や森林タイプごとの森林のバイオマスを推定することができ、途上国でのREDDプラスの実施に必要となる森林減少、劣化による二酸化炭素排出量の推定に役立ちます。

(注)航空機LiDAR:航空機に搭載されたレーザスキャナから地上に1秒間に数万発のレーザ光を照射して地上の3次元構造を復元するシステム

 

図:航空機LiDARと高分解能衛星を用いた熱帯林のバイオマスのマッピング

図:航空機LiDARと高分解能衛星を用いた熱帯林のバイオマスのマッピング(カンボジア・コンポントム州)

西側の地域(図の左側)には集落があり、森林の利用による劣化に伴いバイオマスが低くなっています。東側の地域(図の右側)では比較的良い状態の森林が分布していてバイオマスが高くなっています。森林バイオマスがゼロの白色のエリアでは、農作物の栽培やゴムのプランテーションが見られます。

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