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木材の繊維直交(横)方向の力学特性からみえる樹種の個性

2018年7月23日掲載

論文名

Effects of density and anatomical feature on mechanical properties of various wood species in lateral tension(様々な樹種の横引張力学特性へ及ぼす密度と組織構造の影響)

著者(所属)

三好 由華(木材加工・特性研究領域)、神代 圭輔(京都府立大学)、古田 裕三(京都府立大学)

掲載誌

Journal of Wood Science, 2018、DOI:10.1007/s10086-018-1730-z(外部サイトへリンク)

内容紹介

木材の繊維直交(横)方向の強度は繊維方向と比較して極めて低く、大きな力を担う用途に使われることは少ないため、繊維方向ほど多くの研究が行われていません。しかし、乾燥の際に発生する木材の割れや木材をトレーなどの3次元形状に成形した場合に生じる繊維に沿った割れ(図1)は、横方向の応力に対する強度に起因することから、木材の横方向の力学特性を知ることはとても重要です。木材の横方向の力学特性をよく知り、制御できるようになれば、乾燥や加工の現場での課題解決に役立ちます。

そこで、木材で最も壊れ(割れ)やすい横方向の力学特性を明らかにするために、様々な組織構造の特徴をもつ密度が異なる10種類の木材のヤング率、強度、破壊に至るまでの変形量を測定しました。繊維方向の力学特性は一般的に密度の影響を大きく受けるとされていますが、横方向の力学特性は、密度の大きさのみに支配されるのではなく、細胞の形状、早材と晩材の密度の移り変わり方、木材中の道管の分布や放射組織の配向が影響することが明らかになりました(結果の一例:図2)。

本研究で得られた各樹種の横方向の力学特性に関する知見に基づき、木材の乾燥技術や変形加工技術の高度化、樹種の特徴を活かした新たな木材の利用方法の開発に取り組みたいと考えています。

 

図1:横方向の引張応力に対して割れた木材の様子

図1:横方向の引張応力に対して割れた木材の様子

 

図2:年輪に対して直角方向に引張試験を行った結果

図2:年輪に対して直角方向に引張試験を行った結果(□は針葉樹、○は広葉樹)
図は25℃の水中で測定を行った結果の平均値を示しています。
密度とヤング率に繊維方向でみられるような比例関係は認められず、横方向の力学特性には木材の組織構造も影響していることが示唆されました。

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