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オゾン濃度とスギの葉の香りの強さとの関係を解明

2018年8月6日掲載

論文名

Differences in monoterpene emission characteristics after ozone exposure between three clones representing major gene pools of Cryptomeria japonica.(スギの主要な遺伝子プールを代表する3つの無性繁殖体間におけるオゾン暴露後のモノテルペン放出特性の違い)

著者(所属)

深山 貴文(森林防災研究領域)、飛田 博順(植物生態研究領域)、内山 憲太郎(樹木分子遺伝研究領域)、矢崎 健一(植物生態研究領域)、上野 真義(樹木分子遺伝研究領域)、齋藤 隆実(植物生態研究領域)、松本 麻子(樹木分子遺伝研究領域)、北尾 光俊(北海道支所)、伊豆田 猛(東京農工大学)

掲載誌

Journal of agricultural meteorology、74(3)、July 2018、DOI:10.2480/agrmet.D-17-00043(外部サイトへリンク)

内容紹介

オゾンを主成分とする光化学スモッグの発生件数は減少しましたが、都市近郊では未だに夏季になると高濃度オゾンが観測される問題が残されています。植物の香り物質の放出は、清浄大気中においては大気浄化等に役立ちますが、オゾン濃度の高い汚染大気中ではオゾン濃度をさらに上昇させることが懸念されています。このため、既に街路樹はオゾン濃度の上昇を抑えるために香り物質の放出量が少ない樹種を選んで植栽されています。本研究では、都市近郊の人工林でも香り物質の放出量が少ない品種を選んで植栽する取り組みを行うことを想定し、日本のスギを代表する3系統(ヤクスギ系、オモテスギ系、ウラスギ系)について、異なるオゾン濃度下での香り物質の放出量を比較しました。

実験施設に3系統の苗木を植栽し、15ヶ月間、現在のオゾン濃度の区域(低濃度区)と、将来予想されている現在の2倍のオゾン濃度にした区域(高濃度区)の中で育てました。そして、葉から放出された香り物質の放出量を分析装置で測定しました。低濃度区は3系統とも香り物質の放出量が低く同程度でしたが、高濃度区はヤクスギ系が低濃度区の約15倍、オモテスギ系が約2.2倍、ウラスギ系が約1.2倍に増加していました。高濃度区における放出量の違いは非常に大きいことから、都市近郊でスギを造林する場合、将来の高濃度オゾン条件を視野に入れた実験を行って慎重に苗木を選定することが望ましいことがわかりました。この結果は、大気環境保全を考慮した森林管理に役立ちます。

 

写真:開放系オゾン暴露実験施設

写真:開放系オゾン暴露実験施設(観測した大気中のオゾン濃度に対して、内部環境をその2倍の濃度にするようにオゾンを供給して制御する施設)

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