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養分の少ない土地で高さ50m以上に育つフタバガキ科の木の省資源な生き方

2018年8月28日掲載

論文名

Association of growth and hollow stem development in Shorea albida trees in a tropical peat swamp forest in Sarawak, Malaysia (マレーシア国サラワクの熱帯泥炭湿地林におけるショレア・アルビダの幹の成長と樹洞形成の対応)

著者(所属)

門田 有佳子(京都大学)、清野 嘉之(植物生態研究領域)、Auldry Chaddy・Christopher Damian・Lulie Melling(サラワク州熱帯泥炭研究所)

掲載誌

Trees、June 2018、Springer、DOI:10.1007/s00468-018-1717-9(外部サイトへリンク)

内容紹介

ボルネオ西部の泥炭湿地(養分の少ない泥炭が堆積している)にはフタバガキ科のショレア・アルビダの大木林が成立しています。養分の少ない土地で、どうして大木になれるのでしょうか?本種は幹に洞(うろ)を持つ木が多いという特徴が知られています。ショレア・アルビダの成長と洞の発達の過程を生態学の視点から調べました。

幹の材の比重を調べたところ、若いときには比較的軽い材(材密度:0.35~0.58Mg/m3)を、林冠に達してからは外側の幹に重く、強い材(材密度:0.56~0.64Mg/m3)を作ることがわかりました。軽い材は強度が劣りますが、少ない資源で作れます。また、幹の肥大成長は、幹の洞の拡大よりわずかに速い程度でした。これは幹の腐朽を抑えるよりも、肥大成長に優先して資源を分配していることを示しています。これにより内側が洞になった円筒状の幹の形が成長過程で保たれ、さらに大風などで幹が折れたときは、折れたところから新しい幹が胴吹き注)して樹高を保つ能力もあることから、樹高50m以上の大木に育つことがわかりました。

幹の内側に洞を持つ大木は他の樹種でも珍しくなく、そうした木も省資源な生き方を選んでいる可能性があります。生態学の視点からの洞の解析結果は、倒木危険度の判定、樹洞性生物の生活環境や樹木の炭素貯留機能を評価するのに役立ちます。

注)胴吹き:幹や枝の途中から新しい芽が吹くこと。

 

写真:玉切りしたショレア・アルビダの木

写真:玉切りしたショレア・アルビダの木。幹の全体を通して洞が形成されています。

 

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