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縞枯れ林の回復には60年では足りない ―伊勢湾台風被害後の回復過程―

2018年9月10日掲載

論文名

Changes of above- and below-ground biomass forty-three years after a typhoon disturbance in a subalpine wave regeneration forest on Mt. Shimagare. (台風攪乱から43年が経過した縞枯れ林における地上部及び地下部現存量の変化)

著者(所属)

岩本 宏二郎(多摩森林科学園)、鵜川 信(鹿児島大学)、荒木 眞岳・壁谷 大介(植物生態研究領域)、石塚 森吉(国際緑化推進センター)、梶本 卓也(東北支所)

掲載誌

森林総合研究所研究報告 17巻2号、117-131、森林総合研究所、2018年6月

URL:https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/bulletin/446/index.html

内容紹介

森林には、本来台風などによる被害を受けても自ら修復する能力を持っています。しかし、大規模な攪乱を受けると、そうした回復が大きく遅れ、時には元に戻らない場合があります。この研究では、長野県北八ヶ岳の亜高山帯の森林について、1959年の伊勢湾台風で被害を受けた後の回復過程を、樹木の成長や現存量の観点から調べました。

調査は“縞枯れ林”と呼ばれる森林で行いました。ここでは、風を受けて縞状に枯れた部分(枯死木帯)(写真1)が年々斜面の上部へ移行するため、縞と縞の間には成熟した林から樹高が低い若い林が連続する様子が見られます(図1)。古い航空写真の判読などから、約60年前に風害が襲った当時、樹高が約8m以上の高木を中心に風倒被害が発生し、通常の縞枯れ部分以外に、幅数十メートルの枯死木帯が新たに形成されたと考えられます。そこで、現在林齢が最も高い成熟区(60年生)と当時の枯死木帯から更新した若木区(20年生)、そしてそれらの中間区(40年生)の3箇所を設定し、個体の成長経過や現存量を推定しました。その結果、中間区では、被害後の個体の成長は成熟区よりも早く、被害前のレベルまで現存量がすでに回復していましたが、一方、成熟区では枯死も始まり、現存量の回復も遅れており、通常の縞枯れ更新の場合とは違う成長経過をたどっていることがわかりました。以上のことから、今後気候変動による台風の大型化などで被害が拡大すれば、亜高山帯林の更新や分布にも大きな影響がでる可能性があります。

 

図1. 縞枯れ林の模式図と調査区の位置

図1. 縞枯れ林の模式図と調査区の位置。

 

写真1. 北八ヶ岳縞枯山の縞枯れ林で、枯れ木が帯状に並んで見える

写真1:北八ヶ岳縞枯山の縞枯れ林で、枯れ木が帯状に並んで見える。伊勢湾台風から約60年経過したが、台風被害から十分に回復していない。

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