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気象劣化による木材細胞壁のミクロな成分変化を可視化できた!

2018年10月10日掲載

論文名

Confocal Raman microscopy reveals changes in chemical composition of wood surfaces exposed to artificial weathering.(促進耐候性試験により劣化した木材表層の共焦点ラマン顕微鏡を用いた化学成分分析)

著者(所属)

神林 徹(木材改質研究領域)、片岡 厚(広報普及科)、石川 敦子・松永 正弘・小林 正彦(木材改質研究領域)、木口 実(日本大学)

掲載誌

Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology 187 136-140 Elsevier、October 2018、DOI: 10.1016/j.jphotobiol.2018.08.016(外部サイトへリンク)

内容紹介

木材を建築物の外壁やウッドデッキなどエクステリア利用する機会が増えています。木材の表面は太陽光や風雨など気象因子の影響で劣化しやすいため、屋外では塗装などの表面保護処理を行います。その処理を効果的に行うには、木材の表面に生じる気象劣化のメカニズムを詳細に明らかにする必要があります。

本研究では、木材を人工の太陽光と雨水に暴露し、表面の細胞壁とその化学成分が気象因子の作用によってどのように変化するのかを、従来法の数十倍も微小な領域の化学分析が可能な顕微分光装置注)を用いて調べました。木材の主要な化学成分である多糖類(セルロース、ヘミセルロース)とリグニンの変化を分析し、それぞれ可視化した結果、多糖類には大きな変化は認められませんでしたが、リグニンについては紫外線が浸透しやすい木材の表層と、液体の水分が浸透しやすい細胞壁の内側で顕著に減少していることがわかりました。

以上の結果から、木材を気象劣化から保護するためには、紫外線対策だけではなく、雨水をはじく性能の付与も重要であることが示されました。本研究により劣化を阻止する手掛かりが得られたことで、木材の劣化抑制技術をさらに進展できる見通しが得られました。

 

注)顕微鏡と分光法による化学分析を組合せることで微小領域における化学変化を可視化する装置。

 

 

図 気象劣化した木材の表層部の断面

図 気象劣化した木材の表層部の断面(黄四角:測定部位を示す。白点線:劣化前の木材表面の位置を示す。白矢印:細胞壁の内側でリグニンが減少した部分。Hはその厚みを示す。)

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