研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2019年紹介分 > 消費者の認証材を求める行動がベトナムの森林認証面積を拡大させている
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2019年2月4日掲載
論文名 |
The Tendency of Expanding Forest Certification in Vietnam: Case Analysis of Certification Holders in Quang Tri Province(ベトナムにおける森林認証拡大の動向:クアンチー省における認証取得者の事例分析) |
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著者(所属) |
岩永 青史(林業経営・政策研究領域)、Duong Dang Thai・Ha Ho Thanh・Minh Nguyen Van(フエ大学農林業大学) |
掲載誌 |
Japan Agricultural Research Quarterly (JARQ)、53(1):69-80、January 2019、DOI: 10.6090/jarq.53.69(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
森林減少・劣化の進行を食い止めるためには、政府、企業、そして地域の人々の適切な森林利用を促す仕組みを作る必要があります。その一つの方法として、持続可能な森林経営を行っていることが第三者によって客観的に評価される森林認証の取得があります。森林認証を取得した森林の総面積は拡大していますが、その多くは欧米にあり、森林減少・劣化が進行する熱帯地域でこそ普及させる必要があると言えます。 そこで、木材産業が発展しつつあり、森林認証の取得も盛んになってきたベトナムにおいて、認証を取得した企業および農民グループに対して取得の動機について聞き取り調査を行い、森林認証取得の拡大要因を調べました。その結果、企業の認証取得の動機としては、政府による指導、木材販売価格の向上、国際市場で販売する上での必要性が挙げられました。また、農民グループによる認証取得も、森林認証材を求める企業の増加と、そうした企業による高い買い取り価格が取得の動機でした。つまり、認証取得拡大の背景には国際市場や販売先の企業といった加工・流通業者をはじめとする、需要側による認証材の要求があることがわかります。 この結果は、森林認証が普及するためには消費者が認証材を積極的に求める必要があることを示しています。認証材を選択することは、持続可能で適切な森林利用を促すことにつながり、ひいては森林減少・劣化を抑制することにも貢献するのです。 (本研究は2019年1月にJapan Agricultural Research Quarterly誌に公表されました。)
写真1:認証を取得した農民グループの森林。森林が持続的に経営されています。
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お問い合わせ先 |
【研究推進責任者】 森林総合研究所 研究ディレクター 平田 泰雅 【研究担当者】 森林総合研究所 林業経営・政策研究領域 岩永 青史 【広報担当者】 森林総合研究所 広報普及科広報係 【取材等のお問い合わせ】 相談窓口(Q&A)E-mail:QandA@ffpri.affrc.go.jp 電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分) |
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