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ドイツの森林官の知識や技術は現場経験を通じて培われる

2019年3月6日掲載

論文名

ドイツの施業管理システムにおける森林官の役割と知識・技術の活かされ方:バーデン・ヴュルテンベルク州の定期経営計画に着目して

著者(所属)

石崎 涼子(研究企画科)

掲載誌

林業経済、Vol.71、No.11、1-16、林業経済研究所、2019年2月

内容紹介

日本において森林管理を担う人材を育成するにあたって、欧州の森林官への関心が高まっています。なかでも、森林施業に関する高度な知識や技術をもつドイツ語圏の森林官については、養成機関における教育の仕組みなどの知見が蓄積されてきています。一方、そうしたドイツ語圏の森林官が実際に活躍する場、森林官の知識や技術が活かされる場面については、これまで充分に目が向けられてきませんでした。

そこで、ドイツ南西部のバーデン・ヴュルテンベルク州(以下、BW州)を事例として、実際の森林管理の仕組みのなかで森林官の持つ知識や技術がどのように活かされているのかを明らかにしました。BW州において施業管理の核となっているのは、ローカルな行政組織(森林署)に所属する森林官が現場経験などを通じて個々に蓄積する知識や技術です。一方、州有林や市町村有林等における定期経営計画の立案を担うのは、広域の行政組織(地方森林管理局)に所属する若手の森林官(以下、計画官)です。その計画策定プロセスにおいて、計画官が持つ現地森林調査データや最新の知見とローカルな森林官が蓄積した現場実践に基づく知見とが示され、議論が交わされたうえで施業方針が定められます。このプロセスは、立場や経験の異なる森林官が自身の知識や技術を高める機会ともなっています。

このように、施業管理のプロセスのなかに個々の森林官の知識や技術を磨き高める機会が組み込まれているBW州の仕組みは、日本において養成された人材を活かす仕組みを築くにあたり大変参考となります。

 

図:定期経営計画の策定・管理において用いられる森林官の知識・技術

図:定期経営計画の策定・管理において用いられる森林官の知識・技術。現場経験に基づく知見が豊富な森林署の森林官と調査データや最新の知見を持つ森林官(計画官)とが議論を交わしたうえで計画が立案される。上級森林官は林学修士以上、中級森林官は林学学士以上を要件とし、募集・選抜された上で採用された森林専門職の公務員である。同一ポジションでの就任期間は一般的に日本より長く、森林署長では10年以上、森林管轄区森林官では20年以上のケースも多い。

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