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国産材利用が進む合板産業では三つの企業戦略が採られている

2019年6月10日掲載

論文名

Impact of the change in raw material supply on enterprise strategies of the Japanese plywood industry(日本における原木供給の変化が合板企業の戦略に与える影響)

著者(所属)

岩永 青史・都築 伸行・久保山 裕史 (林業経営・政策研究領域)

掲載誌

Journal of Forest Research、23(6):325-335、October 2018 DOI:10.1080/13416979.2018.1534048(外部サイトへリンク)

内容紹介

これまで日本の合板需要は、輸入丸太による製造や海外で生産された輸入合板でまかなわれていました。そのため、丸太または合板の輸出国の森林資源状況や林業政策の影響を受け、需給バランスを保つことが困難になることもありました。しかし、近年は国産材を利用した合板生産が進み、海外からの影響は比較的少なくなっています。このような合板産業の動態をもとに、今後の展開を考察するため、原料供給の変化に対する合板製造企業の対応を分析し、その戦略を明らかにしました。

その結果、以下の特徴的な三つの企業戦略が見られました。一つ目は差別化戦略です。特殊な用途のために防虫、防蟻、耐火などの追加的な加工を施したり、原料に国産材のみを使用したり、また、国産材利用が進むなかで敢えて南洋材の使用を継続したりすることです。二つ目は集中戦略です。環境配慮に関わる木材の加工・流通過程の認証の取得や、市場に近い場所に工場を配置することです。三つ目は多角化戦略です。多様な製品を製造することや、新たな市場を求めて輸出を行うことです。今後、人口減少などの要因で国内の木材需要の減少が見込まれる中で、こうした多角化戦略、特に輸出を行う企業が増加していくであろうと結論付けました。

この成果は、合板産業のみならず、国産材の供給拡大を目指す国内の木材加工企業の戦略形成や木材産業の成長産業化に向けた政策立案に役立ちます。

 

図1:産地別合板用丸太の使用量および製品輸入量の推移

図1:産地別合板用丸太の使用量および製品輸入量の推移。
日本の合板産業は、長らく南洋材に依存してきました。1990年代からは南洋材にかわり北洋材の利用が増えてきました。しかし、2000年代に入って国産材の利用が高まってきました。国産材を利用する企業が増加する中で、製品の差別化や多角化が起きてきたと考えられます。この図は日本合板工業組合連合会(2016)および農林水産省(2016)の統計情報をもとに作成しました。

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