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スギの無花粉になるメカニズムを解明

2019年6月25日掲載

論文名

Comparison of fertile and sterile male gametogenesis in Cryptomeria japonica D. Don (スギの正常個体と無花粉個体の雄性配偶子形成の比較)

著者(所属)

二村 典宏(元森林総合研究所)、伊ケ崎 知弘(樹木分子遺伝研究領域)、斉藤 真己(富山県農林水産総合技術センター森林研究所)、平 英彰(元新潟大学)、篠原 健司(理化学研究所)

掲載誌

Tree Genetics & Genomes、Springer、15(3):30、April 2019 DOI:10.1007/s11295-019-1335-8(外部サイトへリンク)

内容紹介

スギ花粉症は、国民病とまで呼ばれ、深刻な社会問題のひとつです。その対策として、林業分野では花粉を飛散させない無花粉スギの開発が取り組まれてきています。無花粉スギ(富山不稔1:図1)は、1992年に富山県で初めて発見されましたが、無花粉のメカニズムは明らかになっていませんでした。

私たちは、富山不稔1では、花粉外壁の内層の形成に異常が観察されることを発見しました(図2)。また、富山不稔1の花粉形成時における2万2千余りの遺伝子の発現量を解析すると、花粉壁を形成する時期に正常個体と比較して32個の遺伝子の発現量が顕著に低いことがわかりました。その配列と発現様式を詳細に解析したところ、これらの遺伝子には転写制御やシグナル伝達、タンパク質修飾等に関わると予測できる遺伝子が含まれていました。本研究の結果、富山不稔1は花粉壁形成過程の異常により無花粉化した品種であることが明らかになりました。

これまで、無花粉になる過程が異なる様々なスギ品種が選抜されてきています。無花粉化メカニズムの解析を進めることは、無花粉の原因遺伝子の特定や今後の無花粉スギの開発に役立ちます。

 

図1:スギ無花粉の変異を持つ富山不稔1と正常スギ個体

図1:スギ無花粉の変異を持つ富山不稔1(左)と正常スギ個体。正常個体では花粉を飛散させますが、無花粉の個体は花粉を飛散させることができません。

 

図2:無花粉の富山不稔1
図2:無花粉の富山不稔1における花粉外壁内層形成過程での異常(左)。正常個体(右)のような花粉壁の発達が認められませんでした。スケールバーは0.05 mm。

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