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上木伐採による強光ストレスはトドマツ稚樹の成長を2年にわたり抑制する

2019年7月19日掲載

論文名

Sustained growth suppression in forest-floor seedlings of Sakhalin fir associated with previous-year springtime photoinhibition after a winter cutting of canopy trees(冬季伐採後の春の光阻害により、翌年も継続するトドマツ前生稚樹の成長抑制)

著者(所属)

北尾 光俊(北海道支所)、北岡 哲(植物生態研究領域)、原山 尚徳・Evgenios Agathokleous(北海道支所)、韓 慶民・上村 章(植物生態研究領域)、古家 直行・石橋 聡(北海道支所)

掲載誌

European Journal of Forest Research、138(1):143-150、Springer、February 2019 DOI:10.1007/s10342-018-1159-3(外部サイトへリンク)

内容紹介

トドマツの稚樹は耐陰性が高く、林内の暗い環境でも生存が可能です。特に少雪によりササが繁茂しない北海道東部地域では、トドマツ林の林床にトドマツの稚樹(前生稚樹)が多く見られます。そこで前生稚樹の天然更新による再造林コストの削減技術の開発が期待されています。

北海道で一般的な冬季の上木伐採を行うと、トドマツ前生稚樹は強い光によるストレスを受け、針葉が褐変して落葉してしまいます。常緑針葉樹の春の成長は、前年に展開した葉が行う光合成によって支えられているため、強い光による障害と同時に葉の量が減ることで、伐採後1年目のシュート(枝+葉)は十分に成長できませんでした。さらにその次の年の成長を調べたところ、伐採後1年目に展開したシュートは強光によるストレスを受けていませんでしたが、古い葉の落葉が多いほど2年目のシュートの成長が悪くなりました(図1)。2年目の成長低下の原因は、落葉とともに窒素が失われ、2年目のシュートに十分な量の窒素がいきわたらなかったことによると考えられました。

伐採後の前生稚樹を利用したトドマツの天然更新を成功させるためには、上木を一部残すなどして影をつくり、ストレスを低減させ、稚樹に多くの葉を残すことが大切であることがわかりました。

(本研究は2019年1月2日にEuropian Journal of Forest Research誌にオンライン公表されました。)

 

図1:上木伐採後2年目のトドマツ稚樹の成長

図1:上木伐採後2年目のトドマツ稚樹の成長
新しいシュートの成長には古い葉からの窒素栄養の供給が必要となります。古い葉の落葉が多いほど、伐採後2年目の新しいシュートの成長が悪くなりました。写真は、北海道標茶町のトドマツ皆伐試験地において撮影しました。

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