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沈香木の植栽に適した環境を樹種ごとに明らかにした

2019年9月17日掲載

論文名

Growth performance and leaf ecophysiological traits in three Aquilaria species in Malaysia(マレーシアにおける沈香木3樹種の成長パフォーマンスと葉の生理生態特性)

著者(所属)

田中 憲蔵(植物生態研究領域)、米田 令仁(四国支所)、小田 あゆみ(森林総合研究所PD)、Mohamad Alias Azani(マレーシアプトラ大学)

掲載誌

New Forests、50(5):699-715、Springer、September 2019 DOI:10.1007/s11056-018-09693-7(外部サイトへリンク)

内容紹介

東南アジアの熱帯林に分布する沈香木(じんこうぼく、ジンチョウゲ科ジンコウ属)は、古来より香木や香水の原料として珍重され高価格で取引されてきました。過度の伐採により天然資源が枯渇し、植林による資源量の回復が求められていますが、植栽に適した環境についての基礎的な樹木の生態情報がほとんどありませんでした。そこで、この研究では、代表的な沈香木3種について、高温や強光、乾燥といった様々なストレスを受ける環境下で苗木の成長特性や光合成など生理生態的な特性を比較しました。その結果、3種間で乾燥ストレスなどへの耐性が大きく異なることが分かりました。また、各樹種が好んで生育する立地とストレス耐性にも関係が見られました。尾根部に分布する種(Aquilaria hirta)は葉が頑丈で高温や乾燥ストレスを受ける環境でも半数以上の苗が生き残りましたが、林内の湿った環境に生育する種(A. subintegra)は葉が薄く乾燥耐性が低いため、同様の環境でほとんどの苗が枯死しました。一方、斜面に散在する種(A. malaccensis)は両種の中間的な特徴を持っていました。これらの結果は、沈香木の各種について、最適な植栽環境の選定や、気候変動で干ばつが頻発した際の乾燥害のリスク評価などに役立ちます。

(本研究は2019年9月にNew Forests誌に公表されました。)

 

写真1:東南アジアで販売されている沈香と精油を抽出したアロマオイル

写真1:東南アジアで販売されている沈香(左)と精油を抽出したアロマオイル(右)
沈香木の木部には、病虫害などの刺激により樹脂が沈着します。その部分は燃やすとよい香りがすることから、古来より珍重されてきました。現在でも中華圏やイスラム圏での人気が高く、最高品位のものは伽羅とも呼ばれ1g数万円以上の値段で取引されることもあります。奈良の正倉院には蘭奢待(らんじゃたい)と呼ばれる巨大な沈香が収められており、織田信長などの権力者が一部を切り取ったという記録が残っています。

写真2:この研究でも用いたマラッカジンコウの枝葉と果実

写真2:この研究でも用いたマラッカジンコウ(Aquilaria malaccensis)の枝葉と果実

 

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